[インデックス 12735] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のコマンドリファレンスドキュメントである doc/reference-cmd.html ファイルに対する変更です。このファイルは、Go言語の標準ツール群とその機能について説明しており、Go開発者が利用可能なコマンドラインツールを理解するための重要なリソースです。具体的には、go コマンドのサブコマンドとして利用できる機能と、それらが独立したコマンドとしても提供されていることの関連性を明確にすることを目的としています。
コミット
commit 54a2e63a60d1a0119390081e7f64f3b919f1bd20
Author: Shenghou Ma <minux.ma@gmail.com>
Date: Fri Mar 23 23:21:52 2012 +0800
doc/reference-cmd: doc/fmt can be invoked by cmd/go but also available as independent command
R=golang-dev, iant, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5877050
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/54a2e63a60d1a0119390081e7f64f3b919f1bd20
元コミット内容
このコミットの元々の意図は、go doc と go fmt という go コマンドのサブコマンドが、それぞれ独立した godoc および gofmt コマンドとしても利用可能であることをドキュメントに明記することです。これにより、ユーザーがこれらのツールの利用方法について混乱するのを防ぎ、より正確な情報を提供します。
変更の背景
Go言語のツールチェインには、go コマンドという統合されたコマンドラインツールがあります。この go コマンドは、ビルド、テスト、実行、フォーマット、ドキュメント生成など、Goプロジェクトの様々なライフサイクルを管理するためのサブコマンドを提供します。しかし、一部の機能、特に godoc (ドキュメント生成) や gofmt (コードフォーマット) のような重要なツールは、go コマンドのサブコマンド (go doc, go fmt) としてだけでなく、独立した実行可能ファイル (godoc, gofmt) としても提供されています。
この二重の提供方法は、特にGo言語を学び始めたばかりのユーザーにとって混乱を招く可能性がありました。ドキュメントがこの関係性を明確にしていなかったため、ユーザーは go doc と godoc、あるいは go fmt と gofmt の違いや、どちらを使うべきかについて疑問を抱くことがありました。このコミットは、この曖昧さを解消し、ドキュメントの正確性とユーザーの理解を向上させることを目的としています。
前提知識の解説
このコミットを理解するためには、以下のGo言語の基本的なツールと概念について知っておく必要があります。
goコマンド: Go言語の主要なコマンドラインツールであり、Goプログラムのビルド、テスト、実行、パッケージ管理など、多岐にわたる機能を提供します。go build,go run,go test,go getなど、多くのサブコマンドを持ちます。godocコマンド: Goプログラムのドキュメントを抽出・生成するための独立したツールです。ソースコード内のコメントからドキュメントを生成し、Webサーバーとして提供することもできます。gofmtコマンド: Goソースコードを標準的なスタイルに自動的にフォーマットするための独立したツールです。Goコミュニティ全体で一貫したコードスタイルを維持するために広く利用されています。go docサブコマンド:goコマンドのサブコマンドの一つで、godocコマンドと同様にGoパッケージやシンボルのドキュメントを表示します。go fmtサブコマンド:goコマンドのサブコマンドの一つで、gofmtコマンドと同様にGoソースコードをフォーマットします。
これらのツールは機能的に重複する部分がありますが、独立したコマンドはより詳細なオプションや特定のユースケースに対応できる場合があります。一方、go コマンドのサブコマンドは、日常的な開発ワークフローにおいてより簡潔に利用できるように設計されています。
技術的詳細
doc/reference-cmd.html は、HTMLテーブル形式でGoコマンドとその説明をリストアップしています。このコミットでは、特に godoc と gofmt のエントリが変更されています。
変更前は、godoc と gofmt がそれぞれ独立したコマンドとしてリストされていました。
変更後は、これらのエントリが go コマンドのサブコマンドである doc と fmt として再分類され、その説明文に、それぞれが独立した godoc および gofmt コマンドとしても利用可能であり、独立したコマンドの方がより一般的なオプションを提供することが追記されました。
これにより、ドキュメントは以下の点を明確にしています。
go docとgo fmtはgoコマンドの一部である。godocとgofmtは独立したコマンドである。- 独立したコマンド (
godoc,gofmt) は、goコマンドのサブコマンド (go doc,go fmt) よりも多くのオプションを持つ場合がある。
この変更は、単なるテキストの修正に過ぎませんが、Go言語のツールチェインの構造と利用方法に関するユーザーの理解を深める上で重要な意味を持ちます。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/doc/reference-cmd.html b/doc/reference-cmd.html
index 3665e3cbaf..7fdc970626 100644
--- a/doc/reference-cmd.html
+++ b/doc/reference-cmd.html
@@ -47,15 +47,17 @@ and rewrites them to use newer ones.</td>
</tr>
<tr>
-<td><a href="/cmd/godoc/">godoc</a></td>
+<td><a href="/cmd/go/">doc</a></td>
<td> </td>
-<td>Godoc extracts and generates documentation for Go programs.</td>
+<td>Doc extracts and generates documentation for Go packages, it is also available as
+an independent <a href="/cmd/godoc/">godoc</a> command with more general options.</td>
</tr>
<tr>
-<td><a href="/cmd/gofmt/">gofmt</a></td>
+<td><a href="/cmd/go/">fmt</a></td>
<td> </td>
-<td>Gofmt formats Go programs.</td>
+<td>Fmt formats Go packages, it is also available as an independent <a href="/cmd/gofmt/">
+gofmt</a> command with more general options.</td>
</tr>
<tr>
@@ -67,7 +69,8 @@ and rewrites them to use newer ones.</td>
<tr>
<td><a href="/cmd/vet/">vet</a></td>
<td> </td>
-<td>Vet examines Go source code and reports suspicious constructs, such as Printf calls whose arguments do not align with the format string.</td>
+<td>Vet examines Go source code and reports suspicious constructs, such as Printf
+calls whose arguments do not align with the format string.</td>
</tr>
<tr>
コアとなるコードの解説
このコミットの主要な変更は、doc/reference-cmd.html 内のHTMLテーブルの2つの行に集中しています。
-
godocエントリの変更:- 変更前:
<a href="/cmd/godoc/">godoc</a>となっており、独立したgodocコマンドへのリンクと説明がありました。 - 変更後:
<a href="/cmd/go/">doc</a>に変更され、goコマンドのdocサブコマンドへのリンクとなりました。説明文も「Doc extracts and generates documentation for Go packages, it is also available as an independent godoc command with more general options.」と変更され、go docがドキュメントを生成する機能であり、独立したgodocコマンドも存在し、そちらの方がより一般的なオプションを持つことが明記されました。
- 変更前:
-
gofmtエントリの変更:- 変更前:
<a href="/cmd/gofmt/">gofmt</a>となっており、独立したgofmtコマンドへのリンクと説明がありました。 - 変更後:
<a href="/cmd/go/">fmt</a>に変更され、goコマンドのfmtサブコマンドへのリンクとなりました。説明文も「Fmt formats Go packages, it is also available as an independent gofmt command with more general options.」と変更され、go fmtがGoパッケージをフォーマットする機能であり、独立したgofmtコマンドも存在し、そちらの方がより一般的なオプションを持つことが明記されました。
- 変更前:
また、vet コマンドの説明文も、行の折り返しを調整するためにわずかに変更されていますが、これは機能的な変更ではありません。
これらの変更により、doc/reference-cmd.html は、go コマンドのサブコマンドとしての doc と fmt を主要なエントリとして扱い、それらが独立したツールとしても利用可能であることを補足説明する形になりました。これは、Go言語のツールチェインの設計思想、すなわち go コマンドが主要なインターフェースであり、特定の高度なユースケースのために独立したツールも提供されている、という点をより正確に反映しています。
関連リンク
- Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/doc/
goコマンドのドキュメント: https://go.dev/cmd/go/godocコマンドのドキュメント: https://go.dev/cmd/godoc/gofmtコマンドのドキュメント: https://go.dev/cmd/gofmt/
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式リポジトリ (GitHub): https://github.com/golang/go
- Go Code Review Comments (Effective Go): https://go.dev/doc/effective_go#gofmt
- Go Wiki - Command: https://go.dev/wiki/Command (このコミット時点での情報とは異なる可能性がありますが、一般的なGoコマンドの理解に役立ちます)