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[インデックス 12757] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のディストリビューションプロセスにおいて、古いPython製のダッシュボード関連コードをリリースビルドから除外するための変更です。具体的には、misc/dist/bindist.goファイル内のビルド前クリーンアップリストに、当該Pythonコードのパスを追加しています。

コミット

  • コミットハッシュ: 9b6555c6050b0ca626e8725b47885c5e73e19704
  • Author: Andrew Gerrand adg@golang.org
  • Date: Tue Mar 27 09:59:20 2012 +1100

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/9b6555c6050b0ca626e8725b47885c5e73e19704

元コミット内容

    misc/dist: don't include old python dashboard in releases
    
    I'd prefer not to ship a bunch of bad Python code to everyone who uses
    Go 1.
    
    R=golang-dev, gri
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5915043

変更の背景

このコミットの主な背景は、Go 1のリリースにおいて、品質が低いと判断された古いPython製のダッシュボード関連コードが、Goの公式ディストリビューションに含まれることを避けるためです。コミットメッセージにある「I'd prefer not to ship a bunch of bad Python code to everyone who uses Go 1.」という記述から、開発チームがこのPythonコードの品質に懸念を抱いており、ユーザーに不必要な、あるいは問題のあるコードを提供したくないという意図が明確に読み取れます。

Go言語は、その設計思想としてシンプルさ、堅牢性、そして効率性を重視しています。公式ディストリビューションに含めるコードは、これらの原則に合致し、高い品質基準を満たすべきであるという考えがあったと推測されます。古い、あるいは「悪い」と評価されたPythonコードがGoのコアディストリビューションに含まれることは、Goのイメージやユーザー体験に悪影響を与える可能性があったため、リリース前にこれを除外する判断がなされました。

前提知識の解説

Go言語のディストリビューションとビルドプロセス

Go言語のプロジェクトは、ソースコードから実行可能なバイナリを生成するビルドプロセスを持っています。このプロセスには、コンパイルだけでなく、最終的なリリースパッケージに含めるべきファイルや、ビルド前にクリーンアップすべきファイルを管理するステップが含まれます。

misc/dist ディレクトリ

Goのソースツリーにおけるmisc/distディレクトリは、Goのバイナリディストリビューション(配布パッケージ)を構築するためのユーティリティやスクリプトが格納されている場所です。ここには、クロスコンパイルの設定や、リリースに含まれるべきファイル、あるいは除外されるべきファイルを定義するロジックが含まれることがあります。

bindist.go

bindist.goは、misc/distディレクトリ内に存在するGoのソースファイルで、バイナリディストリビューションの作成に関連するロジックを定義しています。このファイルは、どのファイルをビルドに含めるか、どのファイルをビルド前に削除するかといった、ディストリビューションの構成に関する重要な役割を担っています。

preBuildCleanFiles

preBuildCleanFilesは、bindist.go内で定義されている可能性のある変数(または定数、関数など)で、Goのバイナリディストリビューションを生成する前に、特定のファイルをクリーンアップ(削除)するためのパスのリストを保持しています。これは、ビルドプロセス中に生成された一時ファイルや、リリースには不要な開発用ファイルなどを最終的なパッケージから除外するために使用されます。

ダッシュボード

ソフトウェア開発における「ダッシュボード」とは、通常、システムのパフォーマンス、状態、統計などを視覚的に表示するためのユーザーインターフェースを指します。このコミットで言及されている「古いPythonダッシュボード」は、Goプロジェクトの何らかの側面(例えば、テスト結果、ビルドステータス、コードカバレッジなど)を監視するために使用されていたPython製のツールであったと考えられます。

技術的詳細

このコミットは、Goのバイナリディストリビューションを生成する際のクリーンアッププロセスに、特定のパスを追加することで実装されています。

変更はmisc/dist/bindist.goファイルに対して行われています。このファイルには、preBuildCleanFilesという文字列スライス(Goにおける配列のようなもの)が定義されており、これはビルド前に削除されるべきファイルパスのリストを保持しています。

コミットによって追加された行は以下の通りです。

var preBuildCleanFiles = []string{
+	"misc/dashboard/godashboard", // old python code
	"src/cmd/cov",
	"src/cmd/prof",
	"src/pkg/exp",
	// ...
}

この変更により、misc/dashboard/godashboardというパスがpreBuildCleanFilesリストに追加されました。これは、Goのリリースビルドが作成される前に、このパスに存在するファイル(またはディレクトリ)が自動的に削除されることを意味します。コミットメッセージのコメント「old python code」が示すように、このパスにはGo 1のリリースに含めるべきではないと判断された古いPythonコードが含まれていたと考えられます。

このアプローチは、ビルドシステムが自動的に不要なファイルを排除するため、手動での介入を減らし、リリースパッケージの一貫性と品質を保証する上で効果的です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/misc/dist/bindist.go
+++ b/misc/dist/bindist.go
@@ -44,6 +44,7 @@ const (
 )
 
 var preBuildCleanFiles = []string{
+\t"misc/dashboard/godashboard", // old python code
 \t"src/cmd/cov",
 \t"src/cmd/prof",
 \t"src/pkg/exp",

コアとなるコードの解説

変更はmisc/dist/bindist.goファイルのpreBuildCleanFilesという変数定義内で行われています。

preBuildCleanFilesは、Goのビルドシステムが最終的なバイナリディストリビューションを作成する前に、指定されたパスのファイルを削除するために使用する文字列スライスです。このリストにパスを追加するということは、そのパスにあるコンテンツがリリースパッケージに含まれないようにするための直接的な指示となります。

追加された行 "misc/dashboard/godashboard", // old python code は、misc/dashboard/godashboardという相対パスが、ビルド前のクリーンアップ対象としてマークされたことを意味します。これにより、このパスに存在する「古いPythonコード」が、Go 1の公式リリースから確実に除外されることになります。

この変更は、Goのディストリビューションの「内容物」を厳密に管理し、不要な、あるいは品質の低いコンポーネントがユーザーに配布されるのを防ぐための、シンプルかつ効果的な手段です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメントやソースコード(misc/dist/bindist.goの周辺コード)
  • Gitのコミットと差分表示に関する一般的な知識
  • ソフトウェアディストリビューションとビルドプロセスの概念