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[インデックス 12758] ファイルの概要

このコミットは、src/cmd/godoc/appinit.go ファイルに対する変更です。このファイルは、Go言語のドキュメンテーションツールであるgodocがGoogle App Engine上で動作する際の初期化処理や、HTTPリクエストのハンドリングに関連する機能を提供していると考えられます。特に、エラーページの表示ロジックに焦点を当てた修正が行われています。

コミット

このコミットは、cmd/godocのApp Engineバージョンにおける修正を目的としています。具体的には、エラーページを表示する際のservePage関数の呼び出しにおいて、引数の渡し方が修正されています。これにより、App Engine環境下でのgodocのエラー表示が正しく行われるようになります。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/fd9c206718484ace00515f1ed3757c5a0dce8887

元コミット内容

cmd/godoc: fix app engine version

R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5902060

変更の背景

この変更の背景には、godocツールをGoogle App Engine (GAE) 環境で実行する際に発生していた、エラーページの表示に関する不具合があったと考えられます。元のコードでは、エラー発生時にservePage関数に渡される引数が、GAE環境での期待される動作と異なっていた可能性があります。この修正は、servePage関数への引数を調整することで、GAE上でのgodocのエラー表示が意図通りに行われるようにすることを目的としています。

前提知識の解説

  • cmd/godoc: Go言語の公式ドキュメンテーションツールです。Goのソースコードからコメントや宣言を解析し、HTML形式でドキュメントを生成・表示する機能を提供します。ローカルで実行することも、Webサーバーとして公開することも可能です。
  • Google App Engine (GAE): Googleが提供するPaaS (Platform as a Service) です。開発者はアプリケーションコードをデプロイするだけで、インフラの管理をGoogleに任せることができます。Go言語もGAEのサポート対象言語の一つです。GAE環境では、特定のAPIやランタイムの制約が存在するため、通常のGoアプリケーションとは異なる考慮が必要になる場合があります。
  • http.ResponseWriter: Goのnet/httpパッケージにおけるインターフェースで、HTTPレスポンスを構築するために使用されます。これを通じて、HTTPヘッダーの設定やレスポンスボディの書き込みが行われます。
  • http.Request: Goのnet/httpパッケージにおける構造体で、受信したHTTPリクエストの情報をカプセル化します。リクエストメソッド、URL、ヘッダー、ボディなどの情報が含まれます。
  • http.StatusNotFound: HTTPステータスコードの一つで、404 Not Found を表します。リクエストされたリソースがサーバー上で見つからなかった場合に返されます。
  • applyTemplate: この文脈では、おそらくHTMLテンプレートにデータを適用して最終的なHTMLコンテンツを生成する内部関数を指します。エラーメッセージなどの動的な内容をHTMLに埋め込むために使用されます。
  • servePage: この文脈では、おそらく生成されたHTMLコンテンツをHTTPレスポンスとしてクライアントに送信する内部関数を指します。ページのタイトル、コンテンツ、その他のメタデータを受け取り、完全なHTMLページとしてレンダリングして返します。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、Goのnet/httpパッケージを用いたWebアプリケーションにおけるエラーハンドリングと、HTMLテンプレートのレンダリング、そしてGoogle App Engine特有の環境への適応にあります。

Goのnet/httpパッケージは、HTTPサーバーを構築するための強力なプリミティブを提供します。http.Handlerインターフェースを実装することで、特定のパスへのリクエストを処理するハンドラを定義できます。このコミットで変更されているserveError関数は、まさにそのようなエラーハンドリングの一部を担っています。

serveError関数は、HTTPリクエスト中にエラーが発生した場合に呼び出され、エラーメッセージを含むHTMLページをクライアントに返します。このプロセスには以下のステップが含まれます。

  1. エラーコンテンツの生成: applyTemplate関数を使用して、エラー情報(err)をHTMLテンプレート(errorHTML)に適用し、表示するコンテンツ(contents)を生成します。ここで重要なのは、errが絶対パスを含む可能性があるため、セキュリティ上の注意が必要であるというコメントです。
  2. HTTPステータスコードの設定: w.WriteHeader(http.StatusNotFound)を呼び出すことで、HTTPレスポンスのステータスコードを404 Not Foundに設定します。これは、リクエストされたリソースが見つからなかったことをクライアントに伝えます。
  3. ページの提供: servePage関数を呼び出して、最終的なエラーページをクライアントに送信します。このservePage関数が、今回のコミットで引数の変更が行われた箇所です。

元のコードでは、servePage関数にservePage(w, "File "+relpath, "", "", contents)という形で引数が渡されていました。しかし、変更後にはservePage(w, relpath, "File "+relpath, "", "", contents)となっています。

この変更は、servePage関数のシグネチャと、それがApp Engine環境でどのように動作するかに関連しています。推測ですが、servePage関数は、最初の引数としてページのタイトル、2番目の引数として表示するコンテンツのタイトル(またはヘッダー)、そしてその後に実際のコンテンツやその他のメタデータを受け取るような設計になっていた可能性があります。

元の呼び出しでは、"File "+relpathがページのタイトルとして渡され、コンテンツのタイトルは空文字列でした。しかし、App Engine環境では、relpath(相対パス)自体をページのタイトルとして、そして"File "+relpathをコンテンツのタイトルとして扱うことが期待されていたのかもしれません。この修正により、servePage関数が期待する引数の順序と内容に合致させ、App Engine上でのgodocのエラー表示が正しく行われるようになったと考えられます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/cmd/godoc/appinit.go
+++ b/src/cmd/godoc/appinit.go
@@ -19,7 +19,7 @@ import (
 func serveError(w http.ResponseWriter, r *http.Request, relpath string, err error) {
 	contents := applyTemplate(errorHTML, "errorHTML", err) // err may contain an absolute path!
 	w.WriteHeader(http.StatusNotFound)
-	servePage(w, "File "+relpath, "", "", contents)
+	servePage(w, relpath, "File "+relpath, "", "", contents)
 }
 
 func init() {

コアとなるコードの解説

変更はserveError関数内のservePage関数の呼び出しにあります。

  • 変更前:

    servePage(w, "File "+relpath, "", "", contents)
    

    この行では、servePage関数に5つの引数が渡されています。

    1. w (http.ResponseWriter): レスポンスライター
    2. "File "+relpath: ページのタイトルとして使用される文字列
    3. "": 空文字列(おそらくサブタイトルやヘッダーなど、何らかのオプションの引数)
    4. "": 空文字列(同上)
    5. contents: ページの内容となるHTMLコンテンツ
  • 変更後:

    servePage(w, relpath, "File "+relpath, "", "", contents)
    

    変更後もservePage関数には5つの引数が渡されていますが、2番目と3番目の引数の内容が入れ替わっています。

    1. w (http.ResponseWriter): レスポンスライター
    2. relpath: ページのタイトルとして使用される文字列(変更前は3番目の引数だったものが2番目に移動)
    3. "File "+relpath: コンテンツのタイトルまたはヘッダーとして使用される文字列(変更前は2番目の引数だったものが3番目に移動)
    4. "": 空文字列
    5. contents: ページの内容となるHTMLコンテンツ

この変更は、servePage関数の内部実装が、App Engine環境において特定の引数の順序や意味を期待していたことを示唆しています。例えば、servePageのシグネチャがfunc servePage(w http.ResponseWriter, pageTitle string, contentTitle string, ...)のようになっていた場合、変更前の呼び出しではpageTitle"File "+relpathが、contentTitleに空文字列が渡されていました。しかし、App Engineの要件やgodocの設計上、pageTitleにはrelpath(ファイルパス自体)が、そしてcontentTitleには"File "+relpath(「ファイルが見つかりません」のようなメッセージ)が渡されるべきだったと考えられます。

この修正により、godocがApp Engine上でエラーページを生成する際に、正しいタイトルとコンテンツヘッダーが設定され、ユーザーにとってより適切な情報が表示されるようになりました。

関連リンク

  • https://golang.org/cl/5902060 - このコミットに対応するGoのコードレビューシステム(Gerrit)のチェンジリスト。詳細な議論やレビューコメントが確認できる場合があります。

参考にした情報源リンク

  • Go言語のnet/httpパッケージに関する公式ドキュメント
  • Google App EngineのGo言語に関する公式ドキュメント
  • godocツールの一般的な動作に関する情報
  • Gitのdiff形式に関する一般的な知識