[インデックス 12770] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の公式ドキュメント生成プロセスにおけるMakefileの修正に関するものです。具体的には、並行処理パターンに関するHTMLファイルのファイル名変更に伴うビルドエラーを修正しています。
コミット
commit 603a44c50f8028500ff012de2549313cfcbc96c6
Author: Francisco Souza <franciscossouza@gmail.com>
Date: Tue Mar 27 14:03:46 2012 +1100
doc: fix concurrency patterns rawhtml generation
The Makefile target was broken due to the rename of the HTML file.
R=golang-dev
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5918045
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/603a44c50f8028500ff012de2549313cfcbc96c6
元コミット内容
doc: fix concurrency patterns rawhtml generation
このコミットは、Go言語のドキュメント生成プロセスにおいて、並行処理パターンに関するrawhtml
ファイルの生成が壊れていた問題を修正します。問題の原因は、HTMLファイルの名前が変更されたことによってMakefileのターゲットが機能しなくなったためです。
変更の背景
Go言語のプロジェクトでは、ドキュメントの生成にMakefileが使用されています。このMakefileには、様々な記事やドキュメントをHTML形式で生成するためのルールが記述されています。コミットメッセージによると、articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.rawhtml
というファイルがarticles/concurrency_patterns.rawhtml
にリネームされたことが原因で、ドキュメント生成プロセスが中断していました。
Makefileは、特定のファイル(ターゲット)を生成するために必要な依存関係とコマンドを定義します。ファイル名が変更されると、Makefile内でそのファイル名を参照している箇所も更新されなければ、Makefileは古いファイル名を探し続け、結果としてターゲットを見つけられずにビルドエラーとなります。このコミットは、このファイル名変更による参照の不整合を解消し、ドキュメント生成プロセスを再び機能させることを目的としています。
前提知識の解説
Makefile
Makefileは、プログラムのコンパイルやドキュメントの生成など、プロジェクトのビルドプロセスを自動化するためのツールであるmake
コマンドが使用する設定ファイルです。Makefileには、ターゲット(生成したいファイルや実行したいアクション)、依存関係(ターゲットを生成するために必要なファイル)、そしてコマンド(依存関係が満たされたときに実行される処理)が記述されます。
例:
target: dependencies
command
このコミットでは、RAWHTML
という変数に、生成されるべきrawhtml
ファイルの一覧が定義されています。make
コマンドは、この変数にリストされたファイルを処理し、最終的なHTMLドキュメントを生成します。
rawhtmlファイル
rawhtml
ファイルは、Go言語のドキュメントシステムにおいて、HTMLの断片や特定のマークアップを含むファイルとして使用されます。これらは通常、最終的なドキュメントに組み込まれる前に、何らかの処理(例えば、テンプレートへの埋め込みや追加の変換)が行われます。このコミットで言及されているrawhtml
ファイルは、Goの並行処理パターンに関する記事のソースとして機能していたと考えられます。
Go言語のドキュメント構造
Go言語の公式リポジトリには、doc
ディレクトリがあり、Go言語に関する様々なドキュメントや記事が格納されています。これらのドキュメントは、godoc
ツールやカスタムのビルドプロセスを通じて、ウェブサイトやその他の形式で公開されます。Makefile
は、このドキュメント生成パイプラインの重要な一部です。
技術的詳細
このコミットの技術的詳細は、Makefileにおける変数定義とファイルパスの管理に集約されます。
doc/Makefile
ファイルには、RAWHTML
という変数が定義されており、これはGo言語のドキュメントサイトに掲載される様々な記事のrawhtml
ファイルのリストを保持しています。
RAWHTML=\
articles/slices_usage_and_internals.rawhtml\
articles/laws_of_reflection.rawhtml\
articles/c_go_cgo.rawhtml\
articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.rawhtml\
articles/godoc_documenting_go_code.rawhtml\
articles/gobs_of_data.rawhtml\
articles/json_and_go.rawhtml\
このリストは、make
コマンドがドキュメントをビルドする際に、どのrawhtml
ファイルを処理すべきかを指示します。元のファイル名articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.rawhtml
が、何らかの理由でarticles/concurrency_patterns.rawhtml
に変更されたにもかかわらず、Makefile内のRAWHTML
変数が更新されていなかったため、make
は存在しない古いファイル名を探し続け、結果としてビルドエラーが発生していました。
この修正は、RAWHTML
変数内の古いファイルパスを新しいファイルパスに置き換えることで、この不整合を解消します。これにより、make
は正しいファイルを見つけて処理できるようになり、ドキュメント生成プロセスが正常に完了するようになります。
これは、ソフトウェア開発における一般的な問題の一つであり、ファイルのリネームや移動を行う際には、そのファイルを参照しているすべての箇所(コード、設定ファイル、ビルドスクリプトなど)を適切に更新する必要があることを示しています。
コアとなるコードの変更箇所
変更はdoc/Makefile
ファイルの一箇所のみです。
--- a/doc/Makefile
+++ b/doc/Makefile
@@ -8,7 +8,7 @@ RAWHTML=\
articles/slices_usage_and_internals.rawhtml\
articles/laws_of_reflection.rawhtml\
articles/c_go_cgo.rawhtml\
- articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.rawhtml\
+ articles/concurrency_patterns.rawhtml\
articles/godoc_documenting_go_code.rawhtml\
articles/gobs_of_data.rawhtml\
articles/json_and_go.rawhtml\
具体的には、8行目から始まるRAWHTML
変数の定義内で、以下の変更が行われました。
- 削除された行:
- articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.rawhtml\
- 追加された行:
+ articles/concurrency_patterns.rawhtml\
コアとなるコードの解説
この変更は、doc/Makefile
内のRAWHTML
という変数に定義されている、Go言語のドキュメントを構成するrawhtml
ファイルの一覧を更新しています。
RAWHTML
変数は、バックスラッシュ\
を使って複数行にわたって値を定義しており、各行がrawhtml
ファイルへのパスを示しています。
変更前は、並行処理パターンに関する記事のパスがarticles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.rawhtml
となっていました。しかし、このファイル名がarticles/concurrency_patterns.rawhtml
に変更されたため、Makefileが古いファイル名を参照し続け、ドキュメントのビルドが失敗していました。
このコミットでは、古いファイルパスの記述を削除し、新しいファイルパスの記述を追加することで、RAWHTML
変数が現在の正しいファイル名を参照するように修正しています。これにより、make
コマンドがドキュメントをビルドする際に、並行処理パターンに関する記事のrawhtml
ファイルを正しく見つけ、処理できるようになります。
この修正は、ビルドシステムにおけるファイルパスの同期の重要性を示しており、ファイル名変更のような一見小さな変更でも、ビルドプロセス全体に影響を与える可能性があることを強調しています。
関連リンク
- Go Code Review: https://golang.org/cl/5918045
参考にした情報源リンク
- Makefileの基本概念: https://www.gnu.org/software/make/manual/make.html
- Go言語のドキュメント構造に関する一般的な情報 (Go公式ドキュメント): https://go.dev/doc/
- Go言語の並行処理パターンに関する記事 (変更前のファイル名から推測される元の記事): https://go.dev/blog/concurrency-patterns (これは変更後のファイル名に対応する可能性のある記事であり、元の記事がリネームされた結果としてこのURLになったと推測されます。)
- Go言語の
godoc
ツールに関する情報: https://pkg.go.dev/cmd/godoc