[インデックス 12979] ファイルの概要
このコミットは、Go言語プロジェクトにおけるgo1.0.1
およびrelease
タグの参照先コミットハッシュを更新するものです。具体的には、.hgtags
ファイル内でこれらのタグが指すコミットハッシュを、以前の0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2
から2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093
へと変更しています。これは、go1.0.1
リリースに何らかの修正や調整が必要となり、そのタグが指す実体を新しいコミットに「再タグ付け」したことを意味します。
コミット
- コミットハッシュ:
d8443d2e41dd62bbf94b70e7253633b952930a32
- 作者: Andrew Gerrand adg@golang.org
- 日付: 2012年4月26日 木曜日 12:51:55 -0700
- コミットメッセージ:
re-tag go1.0.1
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/d8443d2e41dd62bbf94b70e7253633b952930a32
元コミット内容
re-tag go1.0.1
R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6115056
変更の背景
このコミットの背景には、Go 1.0.1 リリースに関連する何らかの調整があったと考えられます。通常、リリースされたバージョン(例: go1.0.1
)のタグが指すコミットハッシュを変更するということは、以下のような理由が考えられます。
- リリース後の緊急修正:
go1.0.1
がリリースされた直後、あるいはリリース後に、重大なバグやセキュリティ上の問題が発見され、それを修正した新しいコミットをgo1.0.1
として提供する必要が生じた場合。この場合、バージョン番号をgo1.0.2
などに上げるのではなく、既存のgo1.0.1
タグを更新することで、ユーザーが最新の修正版を同じバージョン名で取得できるようにします。 - ビルドまたはパッケージングの問題: リリースプロセス中に、特定の環境でのビルド失敗やパッケージングの問題が発覚し、その問題を解決したコミットにタグを付け直す必要があった場合。
- タグ付けの誤り: 最初のタグ付けが意図しないコミットに対して行われてしまった場合。
Goプロジェクトでは、安定版リリースに対しては厳格なポリシーが適用されますが、初期の段階ではこのような「再タグ付け」が行われることもありました。この変更は、go1.0.1
の安定性と信頼性を確保するための重要な措置であったと推測されます。
前提知識の解説
Gitタグと.hgtags
ファイル
- Gitタグ: Gitにおけるタグは、特定のコミットに永続的な名前(ラベル)を付ける機能です。主にリリースバージョン(例:
v1.0.0
)や重要なマイルストーンをマークするために使用されます。タグには「軽量タグ」と「注釈付きタグ」の2種類がありますが、リリースには通常、作成者情報、日付、メッセージなどを含む「注釈付きタグ」が使用されます。タグは、特定の時点のコードベースを簡単に参照できるようにするために不可欠です。 - Mercurial (
hg
): Goプロジェクトは、初期には分散バージョン管理システムであるMercurial(略称hg
)を使用していました。MercurialもGitと同様にタグ付け機能を持ちますが、その管理方法は異なります。 .hgtags
ファイル: このファイルは、GoプロジェクトがMercurialを使用していた時代に、リポジトリ内のタグ情報を管理するために使用されていた特殊なファイルです。Mercurialでは、.hgtags
ファイルにコミットハッシュとそれに対応するタグ名を記述することで、タグを管理する慣習がありました。Goプロジェクトは後にGitに移行しましたが、移行後も互換性や歴史的な理由から、しばらくの間この.hgtags
ファイルがタグ管理の一部として残されていた時期があります。このファイルは、Mercurialのタグ機能とGitのタグ機能の橋渡しをする役割を果たしていたと考えられます。
Go言語のリリースプロセス(2012年頃)
2012年当時、Go言語はまだ比較的新しい言語であり、そのリリースプロセスも進化の途上にありました。Go 1.0は2012年3月にリリースされ、Go 1.0.1はその最初のパッチリリースでした。初期のリリースでは、安定性を確保しつつ、発見された問題に迅速に対応するために、このようなタグの更新が行われることがありました。現在のGoのリリースプロセスはより洗練され、厳格なリリーススケジュールとパッチリリースの方針が確立されていますが、当時はまだ柔軟な対応が求められる時期でした。
技術的詳細
このコミットの技術的な核心は、GoプロジェクトがMercurialからGitへの移行期にあったこと、そしてその過渡期におけるタグ管理の方法にあります。
通常、Gitリポジトリではgit tag
コマンドを使用してタグを作成・管理し、その情報は.git/refs/tags/
ディレクトリ以下に格納されます。しかし、このコミットではGitのネイティブなタグ機能ではなく、.hgtags
というファイルの内容を変更しています。これは、GoプロジェクトがMercurialからGitへの移行を段階的に行っていた、あるいはMercurialとの互換性を維持する必要があったためと考えられます。
.hgtags
ファイルは、各行が[コミットハッシュ] [タグ名]
の形式で構成されています。このコミットでは、go1.0.1
とrelease
という2つのタグについて、関連付けられているコミットハッシュを更新しています。
- 変更前:
0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 go1.0.1
0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 release
- 変更後:
2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 go1.0.1
2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 release
この変更により、go1.0.1
およびrelease
というタグが、以前のコミット0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2
ではなく、新しいコミット2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093
を指すようになりました。これは、事実上の「タグの強制更新」であり、特定のリリースバージョンが指すコードベースを修正版に切り替えるための手動操作です。
このような操作は、Gitのgit tag -f <tagname> <commit-hash>
に相当しますが、.hgtags
ファイルを直接編集することで、Mercurialのワークフローとの整合性を保っていた可能性があります。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/.hgtags b/.hgtags
index 0108c515ab..a5e7ed6e51 100644
--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -111,5 +111,5 @@ bce220d0377405146527ab9478867cbc572a6886 weekly.2012-03-22
dc5e410f0b4c32ab11dc992593a2bcf5f607381b weekly.2012-03-27
dc5e410f0b4c32ab11dc992593a2bcf5f607381b weekly
920e9d1ffd1f46665dd152aa9cf3c0f17d68dd88 go1
-0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 go1.0.1
-0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 release
+2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 go1.0.1
+2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 release
コアとなるコードの解説
上記の差分は、.hgtags
ファイル内の2行を変更していることを示しています。
-0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 go1.0.1
-0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 release
これらの行が削除され、代わりに以下の行が追加されています。
+2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 go1.0.1
+2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 release
これは、go1.0.1
というタグとrelease
というタグ(これらは同じコミットを指すように設定されていた)が、以前のコミットハッシュ0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2
から、新しいコミットハッシュ2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093
を指すように更新されたことを明確に示しています。
この変更は、GoプロジェクトがMercurialからGitへの移行期に、タグ管理のために.hgtags
ファイルを活用していたことの証拠です。通常、Gitリポジトリではこのようなタグの変更はgit tag -f
コマンドで行われますが、このファイルへの直接的な変更は、当時のGoプロジェクトの特定のワークフローや、Mercurialとの互換性を維持するための措置であったことを示唆しています。
関連リンク
- GitHub上のコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/d8443d2e41dd62bbf94b70e7253633b952930a32
- Go Code Review (Gerrit): https://golang.org/cl/6115056
参考にした情報源リンク
- Go言語のバージョン管理の歴史とMercurialからGitへの移行に関する情報(一般的な知識に基づく)
- Gitのタグ付けに関する公式ドキュメントやチュートリアル
- Mercurialのタグ管理に関する一般的な情報
- Go 1.0.1 リリースノート(当時の状況を推測するため)
- https://go.dev/doc/go1.0.1 (Go 1.0.1の公式ドキュメントページ)
- Goプロジェクトのソースコードリポジトリの歴史的経緯に関する情報(一般的な知識に基づく)
[インデックス 12979] ファイルの概要
このコミットは、Go言語プロジェクトにおけるgo1.0.1
およびrelease
タグの参照先コミットハッシュを更新するものです。具体的には、.hgtags
ファイル内でこれらのタグが指すコミットハッシュを、以前の0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2
から2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093
へと変更しています。これは、go1.0.1
リリースに何らかの修正や調整が必要となり、そのタグが指す実体を新しいコミットに「再タグ付け」したことを意味します。
コミット
- コミットハッシュ:
d8443d2e41dd62bbf94b70e7253633b952930a32
- 作者: Andrew Gerrand adg@golang.org
- 日付: 2012年4月26日 木曜日 12:51:55 -0700
- コミットメッセージ:
re-tag go1.0.1
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/d8443d2e41dd62bbf94b70e7253633b952930a32
元コミット内容
re-tag go1.0.1
R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6115056
変更の背景
このコミットの背景には、Go 1.0.1 リリースに関連する何らかの調整があったと考えられます。通常、リリースされたバージョン(例: go1.0.1
)のタグが指すコミットハッシュを変更するということは、以下のような理由が考えられます。
- リリース後の緊急修正:
go1.0.1
がリリースされた直後、あるいはリリース後に、重大なバグやセキュリティ上の問題が発見され、それを修正した新しいコミットをgo1.0.1
として提供する必要が生じた場合。この場合、バージョン番号をgo1.0.2
などに上げるのではなく、既存のgo1.0.1
タグを更新することで、ユーザーが最新の修正版を同じバージョン名で取得できるようにします。 - ビルドまたはパッケージングの問題: リリースプロセス中に、特定の環境でのビルド失敗やパッケージングの問題が発覚し、その問題を解決したコミットにタグを付け直す必要があった場合。
- タグ付けの誤り: 最初のタグ付けが意図しないコミットに対して行われてしまった場合。
Goプロジェクトでは、安定版リリースに対しては厳格なポリシーが適用されますが、初期の段階ではこのような「再タグ付け」が行われることもありました。この変更は、go1.0.1
の安定性と信頼性を確保するための重要な措置であったと推測されます。
前提知識の解説
Gitタグと.hgtags
ファイル
- Gitタグ: Gitにおけるタグは、特定のコミットに永続的な名前(ラベル)を付ける機能です。主にリリースバージョン(例:
v1.0.0
)や重要なマイルストーンをマークするために使用されます。タグには「軽量タグ」と「注釈付きタグ」の2種類がありますが、リリースには通常、作成者情報、日付、メッセージなどを含む「注釈付きタグ」が使用されます。タグは、特定の時点のコードベースを簡単に参照できるようにするために不可欠です。 - Mercurial (
hg
): Goプロジェクトは、初期には分散バージョン管理システムであるMercurial(略称hg
)を使用していました。MercurialもGitと同様にタグ付け機能を持ちますが、その管理方法は異なります。 .hgtags
ファイル: このファイルは、GoプロジェクトがMercurialを使用していた時代に、リポジトリ内のタグ情報を管理するために使用されていた特殊なファイルです。Mercurialでは、.hgtags
ファイルにコミットハッシュとそれに対応するタグ名を記述することで、タグを管理する慣習がありました。Gitとは異なり、Mercurialではタグの作成や更新が.hgtags
ファイルへのコミットとして記録されます。Goプロジェクトは後にGitに移行しましたが、移行後も互換性や歴史的な理由から、しばらくの間この.hgtags
ファイルがタグ管理の一部として残されていた時期があります。このファイルは、Mercurialのタグ機能とGitのタグ機能の橋渡しをする役割を果たしていたと考えられます。
Go言語のリリースプロセス(2012年頃)
2012年当時、Go言語はまだ比較的新しい言語であり、そのリリースプロセスも進化の途上にありました。Go 1.0は2012年3月にリリースされ、Go 1.0.1はその最初のパッチリリースでした。初期のリリースでは、安定性を確保しつつ、発見された問題に迅速に対応するために、このようなタグの更新が行われることがありました。現在のGoのリリースプロセスはより洗練され、厳格なリリーススケジュールとパッチリリースの方針が確立されていますが、当時はまだ柔軟な対応が求められる時期でした。
技術的詳細
このコミットの技術的な核心は、GoプロジェクトがMercurialからGitへの移行期にあったこと、そしてその過渡期におけるタグ管理の方法にあります。
通常、Gitリポジトリではgit tag
コマンドを使用してタグを作成・管理し、その情報は.git/refs/tags/
ディレクトリ以下に格納されます。しかし、このコミットではGitのネイティブなタグ機能ではなく、.hgtags
というファイルの内容を変更しています。これは、GoプロジェクトがMercurialからGitへの移行を段階的に行っていた、あるいはMercurialとの互換性を維持する必要があったためと考えられます。
.hgtags
ファイルは、各行が[コミットハッシュ] [タグ名]
の形式で構成されています。このコミットでは、go1.0.1
とrelease
という2つのタグについて、関連付けられているコミットハッシュを更新しています。
- 変更前:
0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 go1.0.1
0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 release
- 変更後:
2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 go1.0.1
2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 release
この変更により、go1.0.1
およびrelease
というタグが、以前のコミット0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2
ではなく、新しいコミット2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093
を指すようになりました。これは、事実上の「タグの強制更新」であり、特定のリリースバージョンが指すコードベースを修正版に切り替えるための手動操作です。
このような操作は、Gitのgit tag -f <tagname> <commit-hash>
に相当しますが、.hgtags
ファイルを直接編集することで、Mercurialのワークフローとの整合性を保っていた可能性があります。MercurialからGitへの移行ツールであるhg-fast-export
なども、.hgtags
ファイルからタグ情報を読み取り、Gitのタグとして変換する機能を持っています。このコミットは、GoプロジェクトがMercurialの慣習を一部残しつつ、Gitへの移行を進めていた時期の典型的な変更パターンと言えます。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/.hgtags b/.hgtags
index 0108c515ab..a5e7ed6e51 100644
--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -111,5 +111,5 @@ bce220d0377405146527ab9478867cbc572a6886 weekly.2012-03-22
dc5e410f0b4c32ab11dc992593a2bcf5f607381b weekly.2012-03-27
dc5e410f0b4c32ab11dc992593a2bcf5f607381b weekly
920e9d1ffd1f46665dd152aa9cf3c0f17d68dd88 go1
-0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 go1.0.1
-0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 release
+2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 go1.0.1
+2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 release
コアとなるコードの解説
上記の差分は、.hgtags
ファイル内の2行を変更していることを示しています。
-0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 go1.0.1
-0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2 release
これらの行が削除され、代わりに以下の行が追加されています。
+2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 go1.0.1
+2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 release
これは、go1.0.1
というタグとrelease
というタグ(これらは同じコミットを指すように設定されていた)が、以前のコミットハッシュ0ffb290037784a90dc5d8878bfeda18d417213e2
から、新しいコミットハッシュ2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093
を指すように更新されたことを明確に示しています。
この変更は、GoプロジェクトがMercurialからGitへの移行期に、タグ管理のために.hgtags
ファイルを活用していたことの証拠です。通常、Gitリポジトリではこのようなタグの変更はgit tag -f
コマンドで行われますが、このファイルへの直接的な変更は、当時のGoプロジェクトの特定のワークフローや、Mercurialとの互換性を維持するための措置であったことを示唆しています。
関連リンク
- GitHub上のコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/d8443d2e41dd62bbf94b70e7253633b952930a32
- Go Code Review (Gerrit): https://golang.org/cl/6115056
参考にした情報源リンク
- Go言語のバージョン管理の歴史とMercurialからGitへの移行に関する情報(一般的な知識に基づく)
- Gitのタグ付けに関する公式ドキュメントやチュートリアル
- Mercurialのタグ管理に関する一般的な情報
- Go 1.0.1 リリースノート(当時の状況を推測するため)
- https://go.dev/doc/go1.0.1 (Go 1.0.1の公式ドキュメントページ)
- Goプロジェクトのソースコードリポジトリの歴史的経緯に関する情報(一般的な知識に基づく)
- MercurialからGitへの移行に関する情報(特に
.hgtags
ファイルの扱いについて)- https://github.com/frej/fast-export (hg-fast-exportツール)
- https://www.mercurial-scm.org/wiki/GitConcepts (MercurialとGitの概念比較)