[インデックス 14464] ファイルの概要
このコミットで変更されたファイルは src/pkg/net/http/transport.go
です。
このファイルはGo言語の標準ライブラリ net/http
パッケージの一部であり、HTTPクライアントがネットワークリクエストを送信し、レスポンスを受信する際の低レベルな詳細を処理する Transport
型の定義を含んでいます。具体的には、コネクションの再利用(Keep-Alive)、プロキシ設定、TLS設定、リダイレクト処理など、HTTP通信の基盤となる機能を提供します。
コミット
- コミットハッシュ:
7afcae6bab0c8a9b19680a48389062f094ee41e6
- 作者: Caine Tighe (
arctanofyourface@gmail.com
) - コミット日時: 2012年11月25日(日)05:08:17 +0800
- コミットメッセージ:
http/transport.go: trivial comment error.
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/7afcae6bab0c8a9b19680a48389062f094ee41e6
元コミット内容
http/transport.go: trivial comment error.
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6856078
変更の背景
このコミットは、src/pkg/net/http/transport.go
ファイル内のコメントにおける些細な(trivial)誤りを修正することを目的としています。コードの動作に影響を与えるものではなく、単にコメントの記述をより正確にするための変更です。このような修正は、コードベースの可読性とメンテナンス性を向上させるために重要であり、将来の開発者がコードを理解する際の誤解を防ぎます。
前提知識の解説
Go言語の net/http
パッケージ
net/http
パッケージは、Go言語でHTTPクライアントおよびサーバーを実装するための主要なパッケージです。このパッケージは、HTTPプロトコルを扱うための高レベルなAPIと、より低レベルな制御を可能にする構造を提供します。
http.Transport
http.Transport
は、HTTPクライアントが実際にネットワークリクエストを送信し、レスポンスを受信する際の詳細を管理する構造体です。これには、以下のような機能が含まれます。
- コネクションの再利用 (Keep-Alive): 複数のHTTPリクエストで同じTCPコネクションを再利用することで、コネクション確立のオーバーヘッドを削減し、パフォーマンスを向上させます。
- プロキシ設定: HTTPリクエストをプロキシサーバー経由で送信するための設定。
- TLS設定: HTTPS通信のためのTLS(Transport Layer Security)設定。
- リダイレクト処理: HTTPリダイレクトの自動処理。
MaxIdleConnsPerHost
MaxIdleConnsPerHost
は http.Transport
構造体のフィールドの一つで、各ホストに対してアイドル状態(使用されていないが、再利用のために開かれたままになっている)のKeep-Aliveコネクションを最大でいくつ保持するかを制御します。この設定は、コネクションの再利用を効率的に行い、ネットワークリソースの消費を最適化するために重要です。
Keep-Aliveコネクション
HTTP/1.1では、デフォルトでKeep-Aliveコネクションが有効になっています。これは、クライアントとサーバー間で一度確立されたTCPコネクションを、複数のHTTPリクエスト/レスポンスのやり取りで再利用する仕組みです。これにより、新しいTCPコネクションを確立する際のハンドシェイク(3-way handshake)のオーバーヘッドや、TLSハンドシェイクのオーバーヘッドを削減できます。アイドル状態のコネクションは、一定時間使用されないと閉じられますが、MaxIdleConnsPerHost
のような設定によって、その保持数が制御されます。
技術的詳細
このコミットは、http.Transport
構造体の MaxIdleConnsPerHost
フィールドに関するコメントの修正です。元のコメントは「(keep-alive) to keep to keep per-host.」となっており、「to keep」が重複していました。この重複を削除し、「(keep-alive) to keep per-host.」とすることで、コメントの文法的な正確性と可読性を向上させています。
これはコードの動作には一切影響を与えません。コンパイル結果やランタイムの振る舞いは変更されません。しかし、コメントはコードの意図を説明し、他の開発者がコードを理解する上で非常に重要な役割を果たします。そのため、このような些細な誤りであっても修正することは、コードベース全体の品質を維持するために推奨されます。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/pkg/net/http/transport.go
+++ b/src/pkg/net/http/transport.go
@@ -71,7 +71,7 @@ type Transport struct {
DisableCompression bool
// MaxIdleConnsPerHost, if non-zero, controls the maximum idle
- // (keep-alive) to keep to keep per-host. If zero,
+ // (keep-alive) to keep per-host. If zero,
// DefaultMaxIdleConnsPerHost is used.
MaxIdleConnsPerHost int
}
コアとなるコードの解説
変更された行は src/pkg/net/http/transport.go
の73行目です。
- 変更前:
// (keep-alive) to keep to keep per-host. If zero,
- 変更後:
// (keep-alive) to keep per-host. If zero,
この修正は、MaxIdleConnsPerHost
フィールドのコメントから冗長な「to keep」というフレーズを削除しています。これにより、コメントがより簡潔で正確になり、MaxIdleConnsPerHost
が「各ホストごとに保持するアイドル(Keep-Alive)コネクションの最大数」を制御するという意味が明確になります。
関連リンク
- Gerrit Change-ID:
https://golang.org/cl/6856078
(GoプロジェクトのコードレビューシステムであるGerritへのリンク)
参考にした情報源リンク
- Go言語の
net/http
パッケージに関する公式ドキュメント - HTTP Keep-Aliveに関する一般的な情報源 (例: MDN Web Docs, RFC 2616)
- Go言語の
http.Transport
の実装に関する情報 (Goのソースコード自体)