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[インデックス 16051] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリである net/http パッケージ内の transport.go ファイルに対する変更です。具体的には、Transport 構造体内の Dial フィールドの関数シグネチャから、不要な名前付き戻り値引数を削除しています。

コミット

commit 5be0dad1169ce56e9a21fa6beb9a1109f6d6aeb0
Author: Brad Fitzpatrick <bradfitz@golang.org>
Date:   Tue Apr 2 12:12:16 2013 -0700

    net/http: remove useless named result arguments in type
    
    R=golang-dev, minux.ma
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/8276043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/5be0dad1169ce56e9a21fa6beb9a1109f6d6aeb0

元コミット内容

net/http: remove useless named result arguments in type

このコミットメッセージは、「net/http パッケージにおいて、型定義内の不要な名前付き戻り値引数を削除する」という変更内容を簡潔に示しています。

変更の背景

Go言語では、関数の戻り値に名前を付けることができます(名前付き戻り値)。これにより、関数内でその名前の変数を宣言することなく、戻り値を代入し、return ステートメントで明示的に値を指定せずに戻すことができます。しかし、この機能はコードの可読性を高めるために使用されるべきであり、単に名前を付けるだけではかえって冗長になったり、混乱を招いたりする場合があります。

このコミットの背景には、Go言語のコードベース全体でのコーディングスタイルと可読性の改善という意図があります。特に、戻り値の名前がその型から自明である場合や、戻り値が少ない場合に名前を付けることは、コードを冗長にするだけであり、メリットが少ないと判断されたと考えられます。net/http パッケージはGoの標準ライブラリであり、多くの開発者が参照・利用するため、そのコード品質と可読性は非常に重要です。この変更は、そのような文脈で「不要な」名前付き戻り値を削除し、より簡潔で読みやすいコードを目指したものです。

前提知識の解説

Go言語の関数シグネチャと戻り値

Go言語の関数は、以下のようなシグネチャを持ちます。

func functionName(parameters) (returnValues) {
    // ...
}

returnValues の部分で、関数が返す値の型を指定します。

名前付き戻り値 (Named Return Parameters)

Goでは、戻り値に名前を付けることができます。

func divide(a, b int) (result int, err error) {
    if b == 0 {
        err = errors.New("division by zero")
        return // err が自動的に返される
    }
    result = a / b
    return // result が自動的に返される
}

この例では、resulterr が名前付き戻り値です。関数内でこれらの変数に値を代入し、return ステートメントで明示的に値を指定せずに戻すことができます。これは、特に複数の戻り値がある場合や、戻り値の意味を明確にしたい場合に有用です。

名前付き戻り値の「不要性」

しかし、以下のようなケースでは、名前付き戻り値が「不要」と見なされることがあります。

  1. 戻り値が少ない場合: 戻り値が1つまたは2つで、その型から意味が自明な場合(例: (c net.Conn, err error)cerr)。
  2. 名前が冗長な場合: 戻り値の名前が型名とほぼ同じ意味を持つ場合(例: (c net.Conn)c)。
  3. 可読性を損なう場合: 名前を付けることで、かえってコードが長くなり、視覚的にノイズが増える場合。

このコミットは、まさにこのような「不要な」名前付き戻り値を削除し、コードの簡潔性を追求するものです。

技術的詳細

この変更は、net/http パッケージの Transport 構造体内の Dial フィールドの型定義に焦点を当てています。

変更前: Dial func(net, addr string) (c net.Conn, err error)

変更後: Dial func(network, addr string) (net.Conn, error)

ここで注目すべきは、戻り値の (c net.Conn, err error) から (net.Conn, error) への変更です。

  • c net.Conn: ここで cnet.Conn 型の戻り値に付けられた名前です。しかし、このコンテキストでは net.Conn 型の戻り値が接続オブジェクトであることは自明であり、c という名前は特に新しい情報を提供していません。
  • err error: 同様に、errerror 型の戻り値に付けられた名前です。error 型の戻り値は通常、エラー情報を示すため、err という名前も自明です。

この変更により、Dial フィールドの型定義はより簡潔になり、冗長な情報が削除されました。これは、Go言語のイディオムである「簡潔さ」と「明瞭さ」を追求した結果と言えます。関数シグネチャにおいて、戻り値の名前がその型から容易に推測できる場合、名前を省略することでコードのノイズを減らし、本質的な情報(型)に集中させることができます。

この変更は、Transport 構造体の Dial フィールドが関数型であることを定義しているだけであり、実際の Dial 関数の実装には影響を与えません。これは、インターフェースや構造体のフィールドとして関数型を定義する際の、シグネチャの記述方法に関する改善です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/net/http/transport.go
+++ b/src/pkg/net/http/transport.go
@@ -58,7 +58,7 @@ type Transport struct {
 	// Dial specifies the dial function for creating TCP
 	// connections.
 	// If Dial is nil, net.Dial is used.
-	Dial func(net, addr string) (c net.Conn, err error)
+	Dial func(network, addr string) (net.Conn, error)
 
 	// TLSClientConfig specifies the TLS configuration to use with
 	// tls.Client. If nil, the default configuration is used.

コアとなるコードの解説

上記の差分は、src/pkg/net/http/transport.go ファイル内の Transport 構造体の定義の一部を示しています。

変更前のコード: Dial func(net, addr string) (c net.Conn, err error)

変更後のコード: Dial func(network, addr string) (net.Conn, error)

この変更は、Transport 構造体の Dial フィールドの型定義を変更しています。Dial フィールドは、TCP接続を作成するための関数を指定するものです。

  • 変更前: 戻り値の型が (c net.Conn, err error) と定義されており、net.Conn 型の戻り値には c という名前が、error 型の戻り値には err という名前が付けられていました。
  • 変更後: 戻り値の型が (net.Conn, error) と変更され、戻り値の名前 (cerr) が削除されました。

この変更は、機能的な振る舞いを一切変更しません。これは純粋にコードのスタイルと可読性の改善を目的としています。Go言語の慣習として、戻り値の名前がその型から自明である場合(特に net.Connerror のように一般的な型の場合)、名前を省略することが推奨されます。これにより、コードがより簡潔になり、視覚的なノイズが減少し、開発者は型情報に集中しやすくなります。

この変更は、Go言語の標準ライブラリが、コードの簡潔さと明瞭さを重視していることを示しています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント(関数、戻り値に関するセクション)
  • Go言語のコーディングスタイルガイドライン(もしあれば)
  • Go言語における名前付き戻り値の利用に関する一般的な議論やベストプラクティスに関する記事(例: "When to use named return values in Go" など)

[インデックス 16051] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリである net/http パッケージ内の transport.go ファイルに対する変更です。具体的には、Transport 構造体内の Dial フィールドの関数シグネチャから、不要な名前付き戻り値引数を削除しています。

コミット

commit 5be0dad1169ce56e9a21fa6beb9a1109f6d6aeb0
Author: Brad Fitzpatrick <bradfitz@golang.org>
Date:   Tue Apr 2 12:12:16 2013 -0700

    net/http: remove useless named result arguments in type
    
    R=golang-dev, minux.ma
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/8276043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/5be0dad1169ce56e9a21fa6beb9a1109f6d6aeb0

元コミット内容

net/http: remove useless named result arguments in type

このコミットメッセージは、「net/http パッケージにおいて、型定義内の不要な名前付き戻り値引数を削除する」という変更内容を簡潔に示しています。

変更の背景

Go言語では、関数の戻り値に名前を付けることができます(名前付き戻り値)。これにより、関数内でその名前の変数を宣言することなく、戻り値を代入し、return ステートメントで明示的に値を指定せずに戻すことができます。この機能は、コードの可読性を高めるために使用されることがありますが、場合によっては冗長になったり、混乱を招いたりする可能性があります。

このコミットの背景には、Go言語のコードベース全体でのコーディングスタイルと可読性の改善という意図があります。特に、戻り値の名前がその型から自明である場合や、戻り値が少ない場合に名前を付けることは、コードを冗長にするだけであり、メリットが少ないと判断されたと考えられます。net/http パッケージはGoの標準ライブラリであり、多くの開発者が参照・利用するため、そのコード品質と可読性は非常に重要です。この変更は、そのような文脈で「不要な」名前付き戻り値を削除し、より簡潔で読みやすいコードを目指したものです。

前提知識の解説

Go言語の関数シグネチャと戻り値

Go言語の関数は、以下のようなシグネチャを持ちます。

func functionName(parameters) (returnValues) {
    // ...
}

returnValues の部分で、関数が返す値の型を指定します。

名前付き戻り値 (Named Return Parameters)

Goでは、戻り値に名前を付けることができます。

func divide(a, b int) (result int, err error) {
    if b == 0 {
        err = errors.New("division by zero")
        return // err が自動的に返される
    }
    result = a / b
    return // result が自動的に返される
}

この例では、resulterr が名前付き戻り値です。関数内でこれらの変数に値を代入し、return ステートメントで明示的に値を指定せずに戻すことができます。これは、特に複数の戻り値がある場合や、戻り値の意味を明確にしたい場合に有用です。

名前付き戻り値の利点:

  • 明確性とドキュメント化: 各戻り値が何を表すかを明示的に命名することで、可読性を向上させ、関数シグネチャの自己ドキュメント化として機能します。特に同じ型の複数の値を返す関数で役立ちます。
  • ボイラープレートの削減: 複数の戻り値を持つ関数では、「裸の return」(引数なしの return ステートメント)を使用できます。これにより、特に複数の return パスを持つ関数で、ボイラープレートコードを削減できます。
  • 初期化: 名前付き戻り値は自動的にゼロ値に初期化されます。

名前付き戻り値の「不要性」と欠点

しかし、以下のようなケースでは、名前付き戻り値が「不要」と見なされたり、欠点となったりすることがあります。

  • 可読性の低下(場合による): 明確さを増す一方で、非常に長いまたは複雑な関数で多くの名前付き戻り値を使用すると、実際の値の割り当てが return ステートメントから遠くなるため、かえって読みにくくなることがあります。
  • シャドウイング: 関数内で新しい変数宣言によって名前付き戻り値が誤ってシャドウイングされ、微妙なバグにつながる可能性があります。
  • 過剰な使用: 戻り値が自明な単純な関数で過剰に使用されると、不必要な冗長性が追加されます。

このコミットは、まさにこのような「不要な」名前付き戻り値を削除し、コードの簡潔性を追求するものです。特に、戻り値が少ない場合や、その型から意味が自明な場合(例: (c net.Conn, err error)cerr)に名前を付けることは、コードを冗長にするだけであり、メリットが少ないと判断されたと考えられます。

技術的詳細

この変更は、net/http パッケージの Transport 構造体内の Dial フィールドの型定義に焦点を当てています。

変更前: Dial func(net, addr string) (c net.Conn, err error)

変更後: Dial func(network, addr string) (net.Conn, error)

ここで注目すべきは、戻り値の (c net.Conn, err error) から (net.Conn, error) への変更です。

  • c net.Conn: ここで cnet.Conn 型の戻り値に付けられた名前です。しかし、このコンテキストでは net.Conn 型の戻り値が接続オブジェクトであることは自明であり、c という名前は特に新しい情報を提供していません。
  • err error: 同様に、errerror 型の戻り値に付けられた名前です。error 型の戻り値は通常、エラー情報を示すため、err という名前も自明です。

この変更により、Dial フィールドの型定義はより簡潔になり、冗長な情報が削除されました。これは、Go言語のイディオムである「簡潔さ」と「明瞭さ」を追求した結果と言えます。関数シグネチャにおいて、戻り値の名前がその型から容易に推測できる場合、名前を省略することでコードのノイズを減らし、本質的な情報(型)に集中させることができます。

この変更は、Transport 構造体の Dial フィールドが関数型であることを定義しているだけであり、実際の Dial 関数の実装には影響を与えません。これは、インターフェースや構造体のフィールドとして関数型を定義する際の、シグネチャの記述方法に関する改善です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/net/http/transport.go
+++ b/src/pkg/net/http/transport.go
@@ -58,7 +58,7 @@ type Transport struct {
 	// Dial specifies the dial function for creating TCP
 	// connections.
 	// If Dial is nil, net.Dial is used.
-	Dial func(net, addr string) (c net.Conn, err error)
+	Dial func(network, addr string) (net.Conn, error)
 
 	// TLSClientConfig specifies the TLS configuration to use with
 	// tls.Client. If nil, the default configuration is used.

コアとなるコードの解説

上記の差分は、src/pkg/net/http/transport.go ファイル内の Transport 構造体の定義の一部を示しています。

変更前のコード: Dial func(net, addr string) (c net.Conn, err error)

変更後のコード: Dial func(network, addr string) (net.Conn, error)

この変更は、Transport 構造体の Dial フィールドの型定義を変更しています。Dial フィールドは、TCP接続を作成するための関数を指定するものです。

  • 変更前: 戻り値の型が (c net.Conn, err error) と定義されており、net.Conn 型の戻り値には c という名前が、error 型の戻り値には err という名前が付けられていました。
  • 変更後: 戻り値の型が (net.Conn, error) と変更され、戻り値の名前 (cerr) が削除されました。

この変更は、機能的な振る舞いを一切変更しません。これは純粋にコードのスタイルと可読性の改善を目的としています。Go言語の慣習として、戻り値の名前がその型から自明である場合(特に net.Connerror のように一般的な型の場合)、名前を省略することが推奨されます。これにより、コードがより簡潔になり、視覚的なノイズが減少し、開発者は型情報に集中しやすくなります。

この変更は、Go言語の標準ライブラリが、コードの簡潔さと明瞭さを重視していることを示しています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go CL 8276043: https://golang.org/cl/8276043
  • Web検索: "Go named return parameters useless" - 名前付き戻り値の利点と欠点、およびその適切な使用例に関する一般的な議論。