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[インデックス 1670] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の初期のビルドシステムにおけるsrc/lib/Makefileの変更を記録しています。具体的には、httpパッケージのビルド依存関係にlogパッケージを追加することで、ビルドエラーを修正することを目的としています。これは、httpパッケージがlogパッケージの機能を利用するようになったため、その依存関係を明示的にMakefileに記述する必要が生じたことを示唆しています。

コミット

  • コミットハッシュ: 20b6de135ba9307724047e2c5d92bc33861b5cf6
  • 作者: Russ Cox rsc@golang.org
  • コミット日時: Fri Feb 13 14:35:36 2009 -0800

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/20b6de135ba9307724047e2c5d92bc33861b5cf6

元コミット内容

    fix build
    
    TBR=r
    OCL=25021
    CL=25021

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語の初期開発段階におけるビルドシステムの進化と、標準ライブラリ間の依存関係の調整があります。コミットメッセージの「fix build」(ビルドの修正)という簡潔な記述は、当時のGoのビルドプロセスにおいて、何らかの理由でhttpパッケージのビルドが失敗していたことを示しています。

具体的には、httpパッケージが新しくlogパッケージの機能を利用するようになったにもかかわらず、その依存関係がビルドシステムに適切に反映されていなかったことが原因と考えられます。Makefileは、ソースコードをコンパイルし、ライブラリや実行ファイルを生成するための手順を定義するものであり、依存関係の管理もその重要な役割の一つです。httpパッケージがlogパッケージに依存するようになった場合、httpパッケージをビルドする前にlogパッケージがビルドされ、利用可能になっている必要があります。このコミットは、その不足していた依存関係をMakefileに追加することで、ビルドが正常に完了するように修正したものです。

前提知識の解説

Makefileとビルドシステム

Makefileは、makeユーティリティが使用する設定ファイルであり、ソフトウェアのビルドプロセスを自動化するために広く用いられます。Makefileには、ターゲット(生成したいファイルや実行したいアクション)と、そのターゲットを生成するために必要な依存関係、そして実行すべきコマンドが記述されます。

Go言語の初期のビルドシステムでは、C言語で書かれた部分(例えばランタイムや一部の標準ライブラリ)とGo言語で書かれた部分が混在しており、Makefileがその両方のビルドを調整していました。dirinstallのようなターゲットは、特定のディレクトリ(Goのパッケージに相当)をビルドし、インストールするためのルールを示していると考えられます。

Go言語のパッケージと依存関係

Go言語では、コードは「パッケージ」という単位で整理されます。あるパッケージが別のパッケージの機能を利用する場合、そのパッケージは利用されるパッケージに「依存」していると言えます。ビルドシステムは、これらの依存関係を解決し、正しい順序でパッケージをコンパイル・リンクする必要があります。

このコミットで言及されているhttpパッケージは、HTTPクライアントおよびサーバーの実装を提供するGoの標準ライブラリパッケージです。logパッケージは、シンプルなロギング機能を提供する標準ライブラリパッケージです。

Go言語の初期のビルドプロセス

2009年当時のGo言語はまだ開発の初期段階にあり、現在のGo Modulesのような洗練された依存関係管理システムは存在しませんでした。ビルドは主にMakefileによって制御されており、各パッケージのビルドとインストールは、Makefile内の特定のターゲット(例: pkg.dirinstall)を通じて行われていました。このシステムでは、パッケージ間の依存関係を手動でMakefileに記述する必要がありました。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、src/lib/Makefileファイル内のhttp.dirinstallターゲットの依存関係リストの変更に集約されます。

変更前:

http.dirinstall: bufio.install io.dirinstall net.dirinstall os.dirinstall strings.install

変更後:

http.dirinstall: bufio.install io.dirinstall net.dirinstall os.dirinstall strings.install log.install

この変更は、httpパッケージをビルドしてインストールする(http.dirinstall)ために、以前はbufio, io, net, os, stringsの各パッケージがインストールされている必要があったことに加えて、新たにlogパッケージもインストールされている必要があることを意味します。

これは、httpパッケージの内部実装が変更され、logパッケージが提供する機能(例えば、HTTPリクエストの処理中にエラーやデバッグ情報をログに出力するため)を利用するようになったことを強く示唆しています。Makefileにおける依存関係の追加は、ビルドシステムに対して「httpパッケージをビルドする前に、logパッケージが利用可能な状態になっていることを確認せよ」という指示を与えます。これにより、logパッケージがコンパイルされていないためにhttpパッケージのビルドが失敗するという問題を解決します。

この種のビルド修正は、大規模なソフトウェアプロジェクト、特に開発初期段階にあるプロジェクトでは頻繁に発生します。コードベースが進化し、モジュール間の依存関係が変化するにつれて、ビルドスクリプトや設定ファイルもそれに合わせて更新される必要があります。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/lib/Makefile
+++ b/src/lib/Makefile
@@ -98,7 +98,7 @@ strings.6: utf8.install
 
 fmt.dirinstall: io.dirinstall reflect.dirinstall strconv.dirinstall
 hash.dirinstall: os.dirinstall
-http.dirinstall: bufio.install io.dirinstall net.dirinstall os.dirinstall strings.install
+http.dirinstall: bufio.install io.dirinstall net.dirinstall os.dirinstall strings.install log.install
 io.dirinstall: os.dirinstall syscall.dirinstall
 json.dirinstall: container/array.dirinstall fmt.dirinstall io.dirinstall math.dirinstall \
 	strconv.dirinstall strings.install utf8.install

コアとなるコードの解説

変更された行は、src/lib/Makefile内のhttp.dirinstallターゲットの定義です。

  • http.dirinstall: これはMakefileのターゲット名であり、httpパッケージのビルドとインストールに関連するアクションを表します。Goの初期のビルドシステムでは、各パッケージのディレクトリに対応するdirinstallターゲットが存在し、そのパッケージをビルドしてシステムにインストールする役割を担っていました。
  • :: ターゲットと依存関係を区切る記号です。
  • bufio.install io.dirinstall net.dirinstall os.dirinstall strings.install: これらはhttp.dirinstallターゲットが依存する他のターゲット(つまり、httpパッケージが依存する他のパッケージのインストール)です。httpパッケージをビルドする前に、これらのパッケージが既にビルドされ、インストールされている必要があります。
  • log.install: このコミットで追加された新しい依存関係です。これは、httpパッケージがlogパッケージの機能を使用するようになったため、logパッケージもhttpパッケージのビルド前にインストールされている必要があることを示しています。

この変更は、Goの標準ライブラリの進化の過程で、パッケージ間の依存関係が動的に変化していたことを示しています。このような依存関係の追加は、機能の追加、リファクタリング、またはバグ修正の結果として発生する可能性があります。この特定のケースでは、「fix build」というコミットメッセージから、logパッケージへの依存が追加されたにもかかわらずMakefileが更新されていなかったためにビルドが失敗していた、という状況が推測されます。

関連リンク

  • Go言語の初期のビルドシステムに関する公式ドキュメントや設計議論は、当時のメーリングリストやGoの公式リポジトリの古いコミット履歴を辿ることで見つかる可能性があります。
  • Go言語のnet/httpパッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/net/http
  • Go言語のlogパッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/log

参考にした情報源リンク

  • Go言語のGitHubリポジトリ: https://github.com/golang/go
  • makeユーティリティのドキュメント(一般的なMakefileの構文と概念理解のため)
  • Go言語の歴史に関する一般的な知識
  • Go言語の標準ライブラリの基本的な機能に関する知識
  • コミットメッセージと変更されたファイルの内容から推測される情報