Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

[インデックス 16832] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のランタイムライブラリの一部であるlibmachにおけるNetBSDおよびOpenBSDビルド時の未使用パラメータ警告を抑制するための変更です。具体的には、これらのOS向けの特定の関数において、引数が実際には使用されていないにもかかわらずコンパイラが警告を発する問題を解決するために、USEDマクロが導入されました。

コミット

commit cae5213b913b2237d79fe19fa6e2b8974f335e1a
Author: Alex Brainman <alex.brainman@gmail.com>
Date:   Sat Jul 20 16:09:30 2013 +1000

    libmach,lib9: override unused parameter warnings (fixes netbsd and openbsd builds)
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/11623043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/cae5213b913b2237d79fe19fa6e2b8974f335e1a

元コミット内容

libmach,lib9: override unused parameter warnings (fixes netbsd and openbsd builds)

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のクロスプラットフォーム対応におけるビルドシステムの問題があります。Go言語は様々なオペレーティングシステムやアーキテクチャで動作するように設計されていますが、それぞれのプラットフォームには独自のシステムコールやライブラリのインターフェースが存在します。libmachは、デバッガやプロファイラなどのツールがプロセスのメモリやレジスタにアクセスするための低レベルなインターフェースを提供するライブラリです。

NetBSDやOpenBSDのような特定のUNIX系OSでは、libmachが提供する一部の関数(例: ctlproc, proctextfile, procstatus, attachproc, detachproc, procthreadpids)が完全に実装されていないか、あるいは特定の引数が現在の実装では使用されない状態でした。しかし、C言語のコンパイラは、関数の引数が宣言されているにもかかわらず、関数本体内で一度も使用されない場合に「未使用パラメータ」の警告を発することが一般的です。

これらの警告は、コードの品質を保つ上で有用ですが、このケースでは、関数が意図的に未実装であるか、将来の拡張のために引数が予約されているために発生していました。警告が多数発生すると、実際の潜在的な問題を見落としやすくなるため、ビルドプロセスをクリーンに保つことが重要です。このコミットは、これらの不要な警告を抑制し、NetBSDおよびOpenBSD上でのGoのビルドを成功させることを目的としています。

前提知識の解説

未使用パラメータ警告 (Unused Parameter Warning)

C言語やC++などのコンパイラは、関数の引数が宣言されているにもかかわらず、その関数の本体内で一度も参照または使用されない場合に警告を発することがあります。これは、プログラマが引数を誤って宣言した可能性や、引数が不要になったにもかかわらず削除し忘れた可能性を示唆するため、コードの品質向上に役立ちます。

例:

void foo(int a, int b) {
    // 'b' は使用されていないため、コンパイラが警告を発する可能性がある
    printf("Value of a: %d\n", a);
}

USED マクロ

未使用パラメータ警告を意図的に抑制するために、C/C++プログラミングでは様々なテクニックが用いられます。その一つが、USEDのようなマクロを使用することです。このマクロは通常、引数を何らかの形で「使用済み」とコンパイラに認識させるための空の操作や、キャスト、あるいはsizeof演算子などを含みます。

一般的なUSEDマクロの実装例:

#define USED(x) (void)(x)

このマクロは、引数xvoid型にキャストするだけです。これにより、xが実際には何も操作されていないにもかかわらず、コンパイラはxが使用されたと判断し、警告を発しなくなります。これは、引数が将来的に使用される予定がある場合や、特定のプラットフォームでその引数が不要な場合に、コードをクリーンに保つための一般的な手法です。

sysfatal 関数

Go言語のCコードベースでは、sysfatalは致命的なシステムエラーが発生した際に呼び出される関数です。これは通常、回復不可能なエラーを示し、プログラムの実行を停止させます。このコミットで変更されている関数群は、いずれもsysfatalを呼び出しており、これはこれらの関数がまだ完全に実装されていないか、特定のプラットフォームではサポートされていないことを示しています。

nil (C言語におけるNULL)

Go言語の文脈でCコードを扱う場合、nilはC言語のNULLポインタに相当します。ポインタが有効なメモリを指していないことを示すために使用されます。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、C言語のコンパイラが発する「未使用パラメータ」の警告を、USEDマクロを用いて抑制することにあります。

Go言語のlibmachライブラリは、デバッグやプロファイリングの目的で、実行中のプロセスの状態を検査するための低レベルなインターフェースを提供します。しかし、NetBSDやOpenBSDといった特定のオペレーティングシステムでは、これらの機能の一部がまだ完全に実装されていないか、あるいはそのOSの特性上、特定の引数が不要である場合があります。

例えば、ctlproc(int pid, char *msg)関数は、プロセスID (pid) とメッセージ (msg) を引数に取りますが、NetBSDやOpenBSDの実装では、単にsysfatalを呼び出して「未実装」であることを示すだけです。この場合、pidmsgは関数本体内で使用されないため、コンパイラは警告を発します。

このコミットでは、これらの未使用の引数に対してUSED(引数名);という行を追加しています。これにより、コンパイラは引数がUSEDマクロによって「使用された」と認識し、警告を抑制します。これは、コードの意図(引数は存在するが、現在の実装では使用されない)を明確にしつつ、ビルドログをクリーンに保つための標準的なプラクティスです。

この変更は、Goのビルドシステムがこれらの特定のOSでエラーなく動作することを保証し、開発者が実際のバグや問題に集中できるようにするために重要です。

コアとなるコードの変更箇所

変更は主にsrc/libmach/netbsd.csrc/libmach/openbsd.cの2つのファイルに集中しています。

src/libmach/netbsd.c

  • ctlproc 関数: pidmsgUSED マクロを追加。
  • proctextfile 関数: pidUSED マクロを追加。
  • procstatus 関数: pidUSED マクロを追加。
  • attachproc 関数: pidfpUSED マクロを追加。
  • detachproc 関数: mUSED マクロを追加。
  • procthreadpids 関数: pid, p, npUSED マクロを追加。

src/libmach/openbsd.c

  • ctlproc 関数: pidmsgUSED マクロを追加。
  • proctextfile 関数: pidUSED マクロを追加。
  • procstatus 関数: pidUSED マクロを追加。
  • attachproc 関数: pidfpUSED マクロを追加。
  • detachproc 関数: mUSED マクロを追加。
  • procthreadpids 関数: pid, p, npUSED マクロを追加。

コアとなるコードの解説

変更された各関数は、NetBSDおよびOpenBSD環境におけるlibmachの特定の機能に対応しています。これらの関数は、現在「unimplemented」(未実装)として扱われており、呼び出されるとsysfatalを呼び出してプログラムを終了させます。

例として、src/libmach/netbsd.cctlproc関数を見てみましょう。

変更前:

int
ctlproc(int pid, char *msg)
{
	sysfatal("ctlproc unimplemented in NetBSD");
	return -1;
}

変更後:

int
ctlproc(int pid, char *msg)
{
	USED(pid);
	USED(msg);
	sysfatal("ctlproc unimplemented in NetBSD");
	return -1;
}

この変更により、pidmsgという引数が関数内で明示的に使用されていないにもかかわらず、USED(pid);USED(msg);という行が追加されたことで、コンパイラはこれらの引数が「使用済み」であると判断します。これにより、コンパイラからの「未使用パラメータ」に関する警告が抑制され、NetBSD上でのGoのビルドが警告なしで完了するようになります。

同様の変更が、src/libmach/openbsd.c内の対応する関数にも適用されています。これは、両方のOSで同様のビルド問題が発生していたためです。

この修正は、機能的な変更ではなく、ビルド時の警告を抑制するための「クリーンアップ」または「ビルドの安定化」のための変更であり、Goのクロスプラットフォーム対応の成熟度を示す一例と言えます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント (GoDoc): https://pkg.go.dev/
  • C言語の未使用変数警告に関する一般的な情報 (例: Stack Overflowなど)
  • Go言語のクロスコンパイルに関する情報 (Go公式ブログなど)
  • NetBSDおよびOpenBSDのシステムプログラミングに関する一般的な情報# [インデックス 16832] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のランタイムライブラリの一部であるlibmachにおけるNetBSDおよびOpenBSDビルド時の未使用パラメータ警告を抑制するための変更です。具体的には、これらのOS向けの特定の関数において、引数が実際には使用されていないにもかかわらずコンパイラが警告を発する問題を解決するために、USEDマクロが導入されました。

コミット

commit cae5213b913b2237d79fe19fa6e2b8974f335e1a
Author: Alex Brainman <alex.brainman@gmail.com>
Date:   Sat Jul 20 16:09:30 2013 +1000

    libmach,lib9: override unused parameter warnings (fixes netbsd and openbsd builds)
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/11623043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/cae5213b913b2237d79fe19fa6e2b8974f335e1a

元コミット内容

libmach,lib9: override unused parameter warnings (fixes netbsd and openbsd builds)

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のクロスプラットフォーム対応におけるビルドシステムの問題があります。Go言語は様々なオペレーティングシステムやアーキテクチャで動作するように設計されていますが、それぞれのプラットフォームには独自のシステムコールやライブラリのインターフェースが存在します。libmachは、デバッガやプロファイラなどのツールがプロセスのメモリやレジスタにアクセスするための低レベルなインターフェースを提供するライブラリです。

NetBSDやOpenBSDのような特定のUNIX系OSでは、libmachが提供する一部の関数(例: ctlproc, proctextfile, procstatus, attachproc, detachproc, procthreadpids)が完全に実装されていないか、あるいは特定の引数が現在の実装では使用されない状態でした。しかし、C言語のコンパイラは、関数の引数が宣言されているにもかかわらず、関数本体内で一度も使用されない場合に「未使用パラメータ」の警告を発することが一般的です。

これらの警告は、コードの品質を保つ上で有用ですが、このケースでは、関数が意図的に未実装であるか、将来の拡張のために引数が予約されているために発生していました。警告が多数発生すると、実際の潜在的な問題を見落としやすくなるため、ビルドプロセスをクリーンに保つことが重要です。このコミットは、これらの不要な警告を抑制し、NetBSDおよびOpenBSD上でのGoのビルドを成功させることを目的としています。

前提知識の解説

未使用パラメータ警告 (Unused Parameter Warning)

C言語やC++などのコンパイラは、関数の引数が宣言されているにもかかわらず、その関数の本体内で一度も参照または使用されない場合に警告を発することがあります。これは、プログラマが引数を誤って宣言した可能性や、引数が不要になったにもかかわらず削除し忘れた可能性を示唆するため、コードの品質向上に役立ちます。

例:

void foo(int a, int b) {
    // 'b' は使用されていないため、コンパイラが警告を発する可能性がある
    printf("Value of a: %d\n", a);
}

USED マクロ

未使用パラメータ警告を意図的に抑制するために、C/C++プログラミングでは様々なテクニックが用いられます。その一つが、USEDのようなマクロを使用することです。このマクロは通常、引数を何らかの形で「使用済み」とコンパイラに認識させるための空の操作や、キャスト、あるいはsizeof演算子などを含みます。

一般的なUSEDマクロの実装例:

#define USED(x) (void)(x)

このマクロは、引数xvoid型にキャストするだけです。これにより、xが実際には何も操作されていないにもかかわらず、コンパイラはxが使用されたと判断し、警告を発しなくなります。これは、引数が将来的に使用される予定がある場合や、特定のプラットフォームでその引数が不要な場合に、コードをクリーンに保つための一般的な手法です。

sysfatal 関数

Go言語のCコードベースでは、sysfatalは致命的なシステムエラーが発生した際に呼び出される関数です。これは通常、回復不可能なエラーを示し、プログラムの実行を停止させます。このコミットで変更されている関数群は、いずれもsysfatalを呼び出しており、これはこれらの関数がまだ完全に実装されていないか、特定のプラットフォームではサポートされていないことを示しています。

nil (C言語におけるNULL)

Go言語の文脈でCコードを扱う場合、nilはC言語のNULLポインタに相当します。ポインタが有効なメモリを指していないことを示すために使用されます。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、C言語のコンパイラが発する「未使用パラメータ」の警告を、USEDマクロを用いて抑制することにあります。

Go言語のlibmachライブラリは、デバッグやプロファイリングの目的で、実行中のプロセスの状態を検査するための低レベルなインターフェースを提供します。しかし、NetBSDやOpenBSDといった特定のオペレーティングシステムでは、これらの機能の一部がまだ完全に実装されていないか、あるいはそのOSの特性上、特定の引数が不要である場合があります。

例えば、ctlproc(int pid, char *msg)関数は、プロセスID (pid) とメッセージ (msg) を引数に取りますが、NetBSDやOpenBSDの実装では、単にsysfatalを呼び出して「未実装」であることを示すだけです。この場合、pidmsgは関数本体内で使用されないため、コンパイラは警告を発します。

このコミットでは、これらの未使用の引数に対してUSED(引数名);という行を追加しています。これにより、コンパイラは引数がUSEDマクロによって「使用された」と認識し、警告を抑制します。これは、コードの意図(引数は存在するが、現在の実装では使用されない)を明確にしつつ、ビルドログをクリーンに保つための標準的なプラクティスです。

この変更は、Goのビルドシステムがこれらの特定のOSでエラーなく動作することを保証し、開発者が実際のバグや問題に集中できるようにするために重要です。

コアとなるコードの変更箇所

変更は主にsrc/libmach/netbsd.csrc/libmach/openbsd.cの2つのファイルに集中しています。

src/libmach/netbsd.c

  • ctlproc 関数: pidmsgUSED マクロを追加。
  • proctextfile 関数: pidUSED マクロを追加。
  • procstatus 関数: pidUSED マクロを追加。
  • attachproc 関数: pidfpUSED マクロを追加。
  • detachproc 関数: mUSED マクロを追加。
  • procthreadpids 関数: pid, p, npUSED マクロを追加。

src/libmach/openbsd.c

  • ctlproc 関数: pidmsgUSED マクロを追加。
  • proctextfile 関数: pidUSED マクロを追加。
  • procstatus 関数: pidUSED マクロを追加。
  • attachproc 関数: pidfpUSED マクロを追加。
  • detachproc 関数: mUSED マクロを追加。
  • procthreadpids 関数: pid, p, npUSED マクロを追加。

コアとなるコードの解説

変更された各関数は、NetBSDおよびOpenBSD環境におけるlibmachの特定の機能に対応しています。これらの関数は、現在「unimplemented」(未実装)として扱われており、呼び出されるとsysfatalを呼び出してプログラムを終了させます。

例として、src/libmach/netbsd.cctlproc関数を見てみましょう。

変更前:

int
ctlproc(int pid, char *msg)
{
	sysfatal("ctlproc unimplemented in NetBSD");
	return -1;
}

変更後:

int
ctlproc(int pid, char *msg)
{
	USED(pid);
	USED(msg);
	sysfatal("ctlproc unimplemented in NetBSD");
	return -1;
}

この変更により、pidmsgという引数が関数内で明示的に使用されていないにもかかわらず、USED(pid);USED(msg);という行が追加されたことで、コンパイラはこれらの引数が「使用済み」であると判断します。これにより、コンパイラからの「未使用パラメータ」に関する警告が抑制され、NetBSD上でのGoのビルドが警告なしで完了するようになります。

同様の変更が、src/libmach/openbsd.c内の対応する関数にも適用されています。これは、両方のOSで同様のビルド問題が発生していたためです。

この修正は、機能的な変更ではなく、ビルド時の警告を抑制するための「クリーンアップ」または「ビルドの安定化」のための変更であり、Goのクロスプラットフォーム対応の成熟度を示す一例と言えます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント (GoDoc): https://pkg.go.dev/
  • C言語の未使用変数警告に関する一般的な情報 (例: Stack Overflowなど)
  • Go言語のクロスコンパイルに関する情報 (Go公式ブログなど)
  • NetBSDおよびOpenBSDのシステムプログラミングに関する一般的な情報