[インデックス 1735] ファイルの概要
このコミットは、Goプロジェクトのビルドスクリプトである src/run.bash に関連する変更です。具体的には、../usr/gri/pretty ディレクトリ内で実行される make clean、time make、make smoketest の一連のコマンドがコメントアウトから解除され、有効化されました。
コミット
commit e8e894bff318ac10e1e65576499a7d7cead554e
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date: Tue Mar 3 16:09:40 2009 -0800
enable pretty in run.bash
R=rsc
DELTA=5 (0 added, 0 deleted, 5 changed)
OCL=25651
CL=25655
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/e8e894bff318ac10e1e65576499a7d7cead554e
元コミット内容
--- a/src/run.bash
+++ b/src/run.bash
@@ -48,11 +48,11 @@ time make
GOMAXPROCS=10 make test
) || exit $?\n
-# (xcd ../usr/gri/pretty
-# make clean
-# time make
-# make smoketest
-# ) || exit $?\n
+(xcd ../usr/gri/pretty
+make clean
+time make
+make smoketest
+) || exit $?\n
(xcd ../doc/progs
time ./run
変更の背景
このコミットは、Goプロジェクトの初期段階におけるビルドおよびテストプロセスの調整の一環として行われました。src/run.bash は、Goのソースコードをビルドし、テストを実行するための主要なスクリプトでした。../usr/gri/pretty に関連するセクションがコメントアウトされていたということは、その機能が一時的に無効化されていたか、開発中であったことを示唆しています。このコミットによって、pretty と呼ばれるコンポーネントまたはテストスイートが、メインのビルド/テストプロセスに組み込まれることになりました。これは、Goプロジェクトの安定性と機能性を確保するための継続的な統合とテストの強化を目的としています。
前提知識の解説
run.bash: Goプロジェクトのルートディレクトリにあるシェルスクリプトで、Goのツールチェーンや標準ライブラリのビルド、テストの実行など、プロジェクト全体のビルドプロセスを自動化するために使用されます。make: Unix系のシステムで広く使われているビルド自動化ツールです。Makefileという設定ファイルに基づいて、ソースコードのコンパイル、リンク、テストの実行など、複雑なビルド手順を定義し、実行します。make clean:Makefileで定義される一般的なターゲットの一つで、ビルドによって生成された中間ファイルや実行可能ファイルなどの成果物を削除し、クリーンな状態に戻すために使用されます。make smoketest: 「スモークテスト」とは、ソフトウェアの主要な機能が正しく動作するかどうかを、ごく短時間で確認するテストのことです。ビルドが成功した直後や、大規模な変更が加えられた後に、基本的な機能が壊れていないことを迅速に確認するために実行されます。xcd: これはGoプロジェクトのrun.bashスクリプト内で定義されているカスタムシェル関数である可能性が高いです。通常、cdコマンドでディレクトリを移動し、その後のコマンドを実行しますが、xcdはディレクトリ移動が失敗した場合にスクリプトの実行を停止する(|| exit $?)などのエラーハンドリングをラップしていると考えられます。../usr/gri/pretty: このパスは、Goプロジェクトの初期のディレクトリ構造を示しています。usrはユーザー関連のコード、griは初期のGoコントリビューターの一人であるIan Lance Taylor(彼の初期のGo関連のコードはしばしばgriというプレフィックスを持っていました)を指している可能性が高いです。prettyは、コードのフォーマットツール、構文解析ツール、または特定のテストスイートの名前である可能性があります。この文脈では、コードの整形や表示に関連するツールである可能性が考えられます。
技術的詳細
このコミットの技術的な変更は非常にシンプルですが、その影響はGoプロジェクトのビルドプロセスにとって重要です。
src/run.bash ファイルの変更点を見ると、以下のブロックがコメントアウトされていました。
# (xcd ../usr/gri/pretty
# make clean
# time make
# make smoketest
# ) || exit $?
このブロックの各行の先頭にある # が削除され、以下のようになりました。
(xcd ../usr/gri/pretty
make clean
time make
make smoketest
) || exit $?
これにより、run.bash スクリプトが実行されるたびに、以下の処理が自動的に行われるようになります。
xcd ../usr/gri/pretty: 現在のディレクトリから相対パスで../usr/gri/prettyディレクトリに移動します。この移動が失敗した場合、スクリプトは終了します。make clean:../usr/gri/prettyディレクトリ内のMakefileに基づいて、クリーンアップ処理を実行します。これにより、以前のビルド成果物が削除され、クリーンな状態でビルドが開始されます。time make:../usr/gri/prettyディレクトリ内のMakefileに基づいて、ビルド処理を実行します。timeコマンドが付いているため、ビルドにかかる時間が計測されます。make smoketest: ビルドが完了した後、../usr/gri/prettyディレクトリ内のMakefileに基づいて、スモークテストを実行します。これにより、prettyコンポーネントの基本的な機能が正しく動作するかどうかが確認されます。
この一連のコマンドは、( と ) で囲まれており、サブシェルで実行されます。これにより、xcd でディレクトリを変更しても、サブシェルが終了した後に元のディレクトリに戻ることができます。また、|| exit $? は、サブシェル内のコマンドのいずれかが失敗した場合(終了ステータスが0以外の場合)に、スクリプト全体の実行を停止させるための一般的なシェルスクリプトのイディオムです。
コアとなるコードの変更箇所
変更されたファイル: src/run.bash
変更内容:
src/run.bash の48行目から58行目にかけてのブロックで、../usr/gri/pretty ディレクトリに関連する make clean, time make, make smoketest の呼び出しがコメントアウトから解除されました。
コアとなるコードの解説
このコミットのコアとなる変更は、src/run.bash 内の特定のセクションのコメントアウトを解除したことです。
変更前:
# (xcd ../usr/gri/pretty
# make clean
# time make
# make smoketest
# ) || exit $?
この状態では、run.bash が実行されても、../usr/gri/pretty ディレクトリでのビルドやテストは行われませんでした。
変更後:
(xcd ../usr/gri/pretty
make clean
time make
make smoketest
) || exit $?
この変更により、run.bash が実行されるたびに、../usr/gri/pretty ディレクトリに移動し、そこで make clean (クリーンアップ)、make (ビルド)、make smoketest (スモークテスト) が順に実行されるようになりました。
この変更の意義は、pretty と呼ばれるコンポーネント(おそらくコード整形ツールや関連するユーティリティ)が、Goプロジェクトの自動ビルドおよびテストプロセスに正式に組み込まれたことを意味します。これにより、pretty コンポーネントの品質が継続的に保証され、Goプロジェクト全体の安定性が向上します。また、time make のようにビルド時間を計測するコマンドが含まれていることから、開発者はこのコンポーネントのビルドパフォーマンスを監視していたことが伺えます。
関連リンク
- Go言語の公式GitHubリポジトリ: https://github.com/golang/go
makeコマンドに関するドキュメント (一般的な情報): https://www.gnu.org/software/make/manual/
参考にした情報源リンク
- Go言語のコミット履歴とソースコード
- シェルスクリプト(Bash)の一般的な構文と慣習
- ビルド自動化ツール
makeの一般的な使用法 - ソフトウェアテストにおけるスモークテストの概念
- Goプロジェクトの初期のディレクトリ構造と開発プロセスに関する一般的な知識