Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

[インデックス 1736] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式仕様書の一部である doc/go_spec.html ファイルに対する変更です。このファイルは、Go言語の構文、セマンティクス、および組み込み関数の詳細を定義しており、言語の挙動を正確に記述する役割を担っています。

コミット

  • コミットハッシュ: 337ce2220f0c7530cfcc67bd74188f316af68b2b
  • Author: Rob Pike r@golang.org
  • Date: Tue Mar 3 16:10:15 2009 -0800
  • コミットメッセージ: rephrase redundancy.

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/337ce2220f0c7530cfcc67bd74188f316af68b2b

元コミット内容

rephrase redundancy.

R=rsc
DELTA=1  (0 added, 0 deleted, 1 changed)
OCL=25652
CL=25656
---
 doc/go_spec.html | 2 +--
 1 file changed, 1 insertion(+), 1 deletion(-)

diff --git a/doc/go_spec.html b/doc/go_spec.html
index c1f68a0ce6..175d530923 100644
--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1015,7 +1015,7 @@ make([]T, length, capacity)

 <p>
 produces the same slice as allocating an array and slicing it, so these two examples
-produce the same slice:
+result in the same slice:
 </p>

 <pre>

変更の背景

このコミットは、Go言語の仕様書における微細な表現の修正です。具体的には、「produce the same slice:」という記述を「result in the same slice:」に修正しています。

このような変更の背景には、技術文書、特に言語仕様のような厳密さが求められる文書において、より正確で誤解の余地のない表現を追求する意図があります。「produce」という言葉は「生み出す」「作り出す」といった能動的な意味合いが強く、場合によってはその操作が何かを新たに生成するかのような印象を与える可能性があります。一方、「result in」は「結果として〜になる」「〜という結果をもたらす」といった、ある操作や定義の帰結をより中立的かつ明確に表現します。

Go言語のmake関数がスライスを「生成する」というよりは、特定の引数に基づいて「結果として」特定のスライス構造になる、というニュアンスを強調するために、より適切な表現が選ばれたと考えられます。これは、言語の挙動を正確に記述するための、細部にわたる品質向上の一環です。

前提知識の解説

このコミットの変更を理解するためには、Go言語における以下の概念を理解しておく必要があります。

Go言語のスライス (Slices)

Go言語のスライスは、配列のセグメントを参照するデータ構造です。スライスは、長さ(len)と容量(cap)という2つの重要なプロパティを持ちます。

  • 長さ (Length): スライスが現在保持している要素の数。
  • 容量 (Capacity): スライスの基盤となる配列が保持できる要素の最大数。スライスを拡張できる上限を示します。

スライスは、基盤となる配列へのポインタ、長さ、容量の3つの要素で構成されます。これにより、スライスは動的なサイズ変更が可能であり、配列よりも柔軟なデータ構造として機能します。

make 関数

Go言語の組み込み関数であるmakeは、スライス、マップ、チャネルといった参照型のデータを初期化するために使用されます。スライスの場合、make関数は以下のように使用されます。

make([]Type, length, capacity)
  • Type: スライスの要素の型。
  • length: スライスの初期の長さ。
  • capacity (オプション): スライスの容量。指定しない場合、容量は長さと同じになります。

make関数は、指定された長さと容量を持つ基盤となる配列を内部的に割り当て、その配列を参照するスライスを返します。例えば、make([]int, 5, 10)は、長さ5、容量10のint型スライスを作成します。このスライスは、内部的に10個のint要素を保持できる配列を参照しています。

仕様書で言及されている「allocating an array and slicing it」とは、以下のような操作を指します。

// 配列を割り当て
var arr [10]int
// その配列をスライスする
s := arr[0:5]

make([]T, length, capacity)は、この「配列の割り当てとスライス」という一連の操作を簡潔に実行し、結果として同じ特性を持つスライスを返します。

技術的詳細

この変更は、Go言語の仕様書における表現の正確性を高めるためのものです。

元の記述: produces the same slice as allocating an array and slicing it, so these two examples produce the same slice:

変更後の記述: produces the same slice as allocating an array and slicing it, so these two examples result in the same slice:

ここで注目すべきは、「produce」から「result in」への変更です。

  • "produce" (生産する、生み出す): この単語は、何かを積極的に作り出す、生成するというニュアンスが強いです。例えば、工場が製品を「produce」する、芸術家が作品を「produce」するといった文脈で使われます。仕様書のような文脈では、make関数がスライスを「生成する」という行為を強調しすぎ、その背後にあるメカニズム(基盤配列の割り当てとスライス)との関係が曖昧になる可能性があります。

  • "result in" (結果として〜になる、〜という結果をもたらす): この単語は、ある操作や条件が引き起こす結果や帰結をより中立的かつ客観的に表現します。make関数が特定の引数で呼び出されたときに、その操作が「結果として」特定の特性を持つスライスになる、という事実を明確に示します。これは、make関数が単にスライスを「作り出す」だけでなく、既存の概念(配列の割り当てとスライス)と等価な結果をもたらすことを強調する上で、より適切な表現です。

言語仕様は、言語の挙動を曖昧さなく定義することが求められます。そのため、言葉の選択一つ一つが重要になります。この変更は、make関数と「配列の割り当てとスライス」という操作が、最終的に同じ特性を持つスライスを「もたらす」という事実を、より正確かつ簡潔に伝えるための改善と解釈できます。これは、読者がGo言語の挙動を誤解なく理解するための、細やかな配慮と言えるでしょう。

コアとなるコードの変更箇所

変更は doc/go_spec.html ファイルの1015行目付近にあります。

--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1015,7 +1015,7 @@ make([]T, length, capacity)

 <p>
 produces the same slice as allocating an array and slicing it, so these two examples
-produce the same slice:
+result in the same slice:
 </p>

 <pre>

コアとなるコードの解説

このコミットは、Go言語の仕様書内のテキストを修正するものであり、Goコンパイラやランタイムの実際のコードロジックを変更するものではありません。変更された行は、make関数がスライスを作成する際の挙動を説明している部分です。

具体的には、make([]T, length, capacity)という形式のmake関数呼び出しが、「配列を割り当ててそれをスライスする」という操作と同じスライスを生成することを示しています。この説明文の後半部分で、「these two examples produce the same slice:」という表現が「these two examples result in the same slice:」に変更されました。

この変更の目的は、前述の通り、仕様書の記述の正確性と明確性を向上させることです。make関数がスライスを「生成する」というよりも、特定の引数に基づいて「結果として」特定のスライス構造になる、というニュアンスをより適切に表現しています。これは、技術文書における言葉の選択の重要性を示す良い例です。

関連リンク

  • Go言語の公式ウェブサイト: https://go.dev/
  • Go言語の仕様書 (現在のバージョン): https://go.dev/ref/spec
    • このコミットが適用された当時の仕様書は、現在のものとは異なる可能性がありますが、概念は共通しています。
  • Go Slices: usage and internals: https://go.dev/blog/slices-intro
    • Goスライスの内部構造と使用方法に関する公式ブログ記事。

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメントおよび仕様書
  • 一般的な技術文書作成における表現の選択に関する知識
  • Go言語のmake関数とスライスの挙動に関する一般的な理解
  • GitHubのコミット履歴