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[インデックス 17812] ファイルの概要

このコミットは、Goランタイムのメモリ管理に関連するsrc/pkg/runtime/mcentral.cファイル内のコメントの修正です。具体的には、MCentral_AllocList関数のコメント内のパラメータ名が、実際のコードで使用されているパラメータ名と一致するように修正されています。

コミット

commit 667303f158a80eb1297bad90cc65576e83260305
Author: Ian Lance Taylor <iant@golang.org>
Date:   Thu Oct 17 11:57:00 2013 -0700

    runtime: correct parameter name in MCentral_AllocList comment
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/14792043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/667303f158a80eb1297bad90cc65576e83260305

元コミット内容

このコミットは、src/pkg/runtime/mcentral.cファイル内のMCentral_AllocList関数のコメントを修正するものです。

変更前:

// On return, *pstart points at the first object.

変更後:

// On return, *pfirst points at the first object.

これは、コメント内で参照されているポインタ変数名が、実際の関数シグネチャで使用されているpfirstではなくpstartとなっていたのを修正するものです。

変更の背景

この変更は、Goランタイムのコードベースにおけるドキュメントの正確性を向上させるためのものです。コードのコメントは、そのコードの意図、機能、および使用方法を理解するために非常に重要です。コメント内のパラメータ名が実際のコードと一致しない場合、開発者がコードを読んだり、デバッグしたりする際に混乱を招く可能性があります。

このコミットは、機能的な変更ではなく、純粋にコメントの整合性を保つための修正であり、コードの可読性と保守性を高めることを目的としています。このような小さな修正は、大規模なプロジェクトにおいてコードベース全体の品質を維持するために不可欠です。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、Goランタイムのメモリ管理の基本的な概念と、C言語のポインタに関する知識が必要です。

Goランタイムのメモリ管理

Go言語は、独自のランタイムシステムを持っており、その中でメモリ管理(ガベージコレクションを含む)が行われます。Goのメモリ管理は、ヒープ領域を効率的に利用し、オブジェクトの割り当てと解放を管理します。主要なコンポーネントとして、以下のものが挙げられます。

  • mcache (Memory Cache): 各P(プロセッサ、Goスケジューラにおける論理CPU)にローカルなキャッシュで、小さなオブジェクトの割り当てを高速化します。ロックフリーでアクセスできます。
  • mcentral (Memory Central): 複数のmcache間で共有される中央のフリーリストです。mcacheがメモリを使い果たした場合、mcentralからメモリを取得します。また、mcacheがメモリをmcentralに返すこともあります。
  • mheap (Memory Heap): 全てのGoプログラムのヒープメモリを管理するグローバルな構造体です。mcentralにメモリを提供し、OSからメモリを要求したり解放したりします。

このコミットで修正されたMCentral_AllocList関数は、mcentralmcacheに対してオブジェクトのリストを割り当てる際に使用される関数です。

C言語のポインタ

Goランタイムの一部はC言語で記述されており、このコミットの対象ファイルもC言語のソースファイルです。C言語では、ポインタはメモリのアドレスを格納する変数です。

  • MLink **pfirst: これは「ポインタへのポインタ」を意味します。pfirstMLink*型(MLink構造体へのポインタ)の値を指すポインタです。関数内で*pfirstを操作すると、呼び出し元で渡されたMLink*変数の値が変更されます。これは、関数が複数の値を返すか、呼び出し元の変数を直接変更する必要がある場合によく使用されるパターンです。

MLink構造体

MLinkは、Goランタイムのメモリ管理において、フリーリスト内のオブジェクトを連結するために使用される軽量な構造体です。通常、割り当てられたオブジェクトの先頭ワードに埋め込まれ、次のフリーオブジェクトへのポインタとして機能します。これにより、メモリブロックが解放されたときに、それらを効率的にフリーリストに再追加できます。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/runtime/mcentral.cファイル内のMCentral_AllocList関数のコメントの修正に限定されます。

MCentral_AllocList関数のシグネチャは以下のようになっています。

int32
runtime·MCentral_AllocList(MCentral *c, MLink **pfirst)

ここで、第二引数はMLink **pfirstであり、これは割り当てられたオブジェクトのリストの先頭を指すポインタへのポインタです。関数が実行されると、この*pfirstを通じて、割り当てられた最初のオブジェクトへのポインタが呼び出し元に返されます。

元のコメントでは、この引数が*pstartと誤って記述されていました。

// On return, *pstart points at the first object.

これは、実際のコードで使用されている変数名pfirstと一致していませんでした。この不一致は、コードを読んだり、関数の動作を理解しようとする開発者にとって混乱の原因となる可能性があります。

このコミットは、単にコメント内のpstartpfirstに修正することで、コメントとコードの間の整合性を回復させました。

// On return, *pfirst points at the first object.

この変更は、Goランタイムの動作に影響を与えるものではなく、純粋にドキュメントの正確性を向上させるためのものです。しかし、このような小さな修正の積み重ねが、大規模なオープンソースプロジェクトのコードベースの品質と保守性を維持する上で非常に重要です。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/runtime/mcentral.cファイルの一箇所のみです。

--- a/src/pkg/runtime/mcentral.c
+++ b/src/pkg/runtime/mcentral.c
@@ -33,7 +33,7 @@ runtime·MCentral_Init(MCentral *c, int32 sizeclass)
 // Allocate a list of objects from the central free list.
 // Return the number of objects allocated.
 // The objects are linked together by their first words.
-// On return, *pstart points at the first object.
+// On return, *pfirst points at the first object.
 int32
 runtime·MCentral_AllocList(MCentral *c, MLink **pfirst)
 {

コアとなるコードの解説

変更された行は、MCentral_AllocList関数のドキュメンテーションコメントの一部です。

元のコメント: // On return, *pstart points at the first object.

修正後のコメント: // On return, *pfirst points at the first object.

このコメントは、MCentral_AllocList関数が正常に実行された後、pfirstという名前のポインタ(正確にはpfirstが指す場所、つまり*pfirst)が、割り当てられたオブジェクトのリストの最初のオブジェクトを指すようになることを説明しています。

MCentral_AllocList関数は、MCentral構造体(c)と、割り当てられたオブジェクトのリストの先頭を格納するためのMLink **pfirstというポインタへのポインタを引数として取ります。この関数は、中央のフリーリストからオブジェクトのリストを割り当て、それらをMLink構造体を使って連結し、そのリストの先頭を*pfirstを通じて呼び出し元に返します。

この修正は、コメント内の変数名が関数の実際の引数名と一致するようにすることで、コードの自己文書化を改善し、将来の読者がこの関数の動作をより正確に理解できるようにします。

関連リンク

  • Go言語のメモリ管理に関する公式ドキュメントやブログ記事:
    • Goのメモリ管理の概要については、Goの公式ブログやドキュメントが参考になります。
    • "Go's Memory Allocator" (Goのメモリ割り当て器) などで検索すると、より詳細な情報が見つかる可能性があります。

参考にした情報源リンク