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[インデックス 1861] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の仕様書 doc/go_spec.html における複合リテラル(composite literal)のアドレス取得に関する記述の文言修正です。具体的には、&T{x} のような形式で複合リテラルのアドレスを取得する際の挙動について、より正確で簡潔な表現に改善しています。この変更は、Go言語のセマンティクス自体を変更するものではなく、その説明の明確性を向上させることを目的としています。

コミット

  • コミットハッシュ: 2a5af744a683a3bac0f613eaabc8f09ecf89b929
  • Author: Rob Pike r@golang.org
  • Date: Fri Mar 20 17:03:48 2009 -0700

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/2a5af744a683a3bac0f613eaabc8f09ecf89b929

元コミット内容

fix wording of &T{x}

R=rsc
DELTA=5  (0 added, 2 deleted, 3 changed)
OCL=26607
CL=26607

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語の複合リテラルとアドレス演算子 & の組み合わせに関する仕様記述の明確化があります。Go言語では、&T{...} のように複合リテラルの前にアドレス演算子を置くことで、そのリテラルが表す値の新しいインスタンスへのポインタを取得できます。

元の記述では、「リテラルの評価が新しい値を生成するため、複合リテラルのアドレスを取得すると、そのリテラルの値のユニークなインスタンスへのポインタが生成される」という表現が使われていました。この表現は技術的には正しいものの、「リテラルの評価が新しい値を生成する」という前段が、アドレス取得の主要なポイントからやや逸れている可能性がありました。

このコミットは、より直接的かつ簡潔に、複合リテラルのアドレス取得が「ユニークなポインタ」を生成するという本質的な挙動を伝えるために文言を修正しました。これにより、読者が複合リテラルのアドレス取得のセマンティクスをより正確に理解できるようになります。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の概念を理解しておく必要があります。

  1. 複合リテラル (Composite Literals): 複合リテラルは、構造体(struct)、配列(array)、スライス(slice)、マップ(map)などの複合型の値をその場で構築するための構文です。例えば、Point{X: 10, Y: 20} は構造体 Point の新しいインスタンスを生成します。複合リテラルは、コード内で直接値を初期化する際に非常に便利です。

  2. アドレス演算子 (&): Go言語におけるアドレス演算子 & は、変数のメモリ上のアドレス(ポインタ)を取得するために使用されます。例えば、p := &x とすると、変数 x のアドレスが p に代入され、px を指すポインタとなります。

  3. 複合リテラルとアドレス演算子の組み合わせ (&T{...}): Go言語では、複合リテラルの前にアドレス演算子 & を置くことができます。例えば、&Point{X: 10, Y: 20} のように記述します。この構文は、複合リテラルによって生成された値の新しいインスタンスをメモリ上に割り当て、そのインスタンスへのポインタを返します。このポインタは、その複合リテラルが評価されるたびに、常に新しい(ユニークな)メモリ位置を指します。これは、複合リテラルがその場で新しい値を生成し、その値がヒープ(またはスタック)に割り当てられるためです。

    この挙動は、特に構造体のインスタンスを生成してすぐにそのポインタを必要とする場合に頻繁に利用されます。例えば、関数がポインタを受け取る場合や、後で値を変更する可能性がある場合に便利です。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、Go言語の仕様書における記述の「正確性」と「簡潔性」の向上にあります。

元の記述: Since evaluation of a literal creates a new value, taking the address of a composite literal (§Address operators) generates a pointer to a unique instance of the literal's value.

修正後の記述: Taking the address of a composite literal (§Address operators) generates a unique pointer to an instance of the literal's value.

変更点は以下の通りです。

  1. Since evaluation of a literal creates a new value, の削除: この前段は、複合リテラルが新しい値を生成するという事実を述べていますが、アドレス取得の主要なポイントではありません。アドレス取得がユニークなポインタを生成する理由は、リテラルが新しい値を生成するからですが、その「理由」を冒頭に置くことで、文の焦点がぼやける可能性がありました。修正後は、直接的にアドレス取得の結果に焦点を当てています。

  2. generates a pointer to a unique instance of the literal's value. から generates a unique pointer to an instance of the literal's value. への変更: この変更は、文の構造を改善し、意味をより明確にしています。

    • 元の「ユニークなインスタンスへのポインタ」という表現は、インスタンス自体がユニークであることを強調しています。これは正しいですが、ポインタが指す先がユニークであると同時に、そのポインタ自体も評価ごとにユニークであるというニュアンスが少し弱かったかもしれません。
    • 修正後の「ユニークなポインタを生成する」という表現は、生成されるポインタ自体がユニークであること(つまり、毎回異なるメモリ位置を指すポインタが返されること)をより直接的に強調しています。これは、Go言語の &T{...} の挙動の重要な側面です。

この修正により、読者は「&T{...} を使うと、毎回新しいメモリ領域に割り当てられた値への、新しいポインタが手に入る」という点をより明確に理解できるようになります。これは、特に並行処理の文脈や、オブジェクトの同一性を考慮する際に重要なセマンティクスです。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1910,11 +1910,9 @@ pi := Num{Rat{22, 7}, 3.14159, "pi"}
 </pre>
 
 <p>
-Since evaluation of a literal creates a new value, taking the address of a
-composite literal (§Address operators) generates a pointer to a unique
-instance of the literal's value.
+Taking the address of a composite literal (§Address operators)
+generates a unique pointer to an instance of the literal's value.
 </p>
-\n <pre>
 var pi_ptr *Rat = &amp;Rat{22, 7}
 </pre>

コアとなるコードの解説

変更は doc/go_spec.html ファイル内のGo言語仕様に関する説明部分です。

  • 削除された行:

    Since evaluation of a literal creates a new value, taking the address of a
    composite literal (§Address operators) generates a pointer to a unique
    instance of the literal's value.
    

    この元の段落は、複合リテラルのアドレスを取得する際の挙動を説明していました。特に、「リテラルの評価が新しい値を生成するため」という前置きがあり、その結果として「リテラルの値のユニークなインスタンスへのポインタが生成される」と述べていました。

  • 追加された行:

    Taking the address of a composite literal (§Address operators)
    generates a unique pointer to an instance of the literal's value.
    

    新しい段落は、より簡潔かつ直接的に同じ概念を説明しています。「リテラルの評価が新しい値を生成する」という前置きを削除し、代わりに「複合リテラルのアドレスを取得すると、そのリテラルの値のインスタンスへのユニークなポインタが生成される」と述べています。

この変更の意図は、説明の焦点を「ポインタ自体がユニークである」という点に明確に置くことです。元の記述も間違いではありませんでしたが、新しい記述の方が、&T{...} が毎回新しいメモリ割り当てと新しいポインタを返すというGo言語の重要なセマンティクスをより効果的に伝えています。これにより、読者はこの構文が単に既存の値へのポインタを返すのではなく、常に新しい独立したインスタンスへのポインタを生成することを明確に理解できます。

関連リンク

  • Go言語仕様 (The Go Programming Language Specification): Go言語の公式仕様書は、言語のあらゆる側面に関する最も権威ある情報源です。複合リテラルやアドレス演算子に関する詳細な定義は、このドキュメントで確認できます。
    • https://go.dev/ref/spec
    • 特に「Composite literals」と「Address operators」のセクションが関連します。

参考にした情報源リンク

  • Go言語仕様 (The Go Programming Language Specification)
  • Go言語の複合リテラルとポインタに関する一般的な解説記事 (Web検索結果に基づく)
    • go composite literal address
    • go &T{}
    • go language spec composite literal
    • go address operator
  • GitHubのgolang/goリポジトリのコミット履歴

[インデックス 1861] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の仕様書 doc/go_spec.html における複合リテラル(composite literal)のアドレス取得に関する記述の文言修正です。具体的には、&T{x} のような形式で複合リテラルのアドレスを取得する際の挙動について、より正確で簡潔な表現に改善しています。この変更は、Go言語のセマンティクス自体を変更するものではなく、その説明の明確性を向上させることを目的としています。

コミット

  • コミットハッシュ: 2a5af744a683a3bac0f613eaabc8f09ecf89b929
  • Author: Rob Pike r@golang.org
  • Date: Fri Mar 20 17:03:48 2009 -0700

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/2a5af744a683a3bac0f613eaabc8f09ecf89b929

元コミット内容

fix wording of &T{x}

R=rsc
DELTA=5  (0 added, 2 deleted, 3 changed)
OCL=26607
CL=26607

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語の複合リテラルとアドレス演算子 & の組み合わせに関する仕様記述の明確化があります。Go言語では、&T{...} のように複合リテラルの前にアドレス演算子を置くことで、そのリテラルが表す値の新しいインスタンスへのポインタを取得できます。

元の記述では、「リテラルの評価が新しい値を生成するため、複合リテラルのアドレスを取得すると、そのリテラルの値のユニークなインスタンスへのポインタが生成される」という表現が使われていました。この表現は技術的には正しいものの、「リテラルの評価が新しい値を生成する」という前段が、アドレス取得の主要なポイントからやや逸れている可能性がありました。

このコミットは、より直接的かつ簡潔に、複合リテラルのアドレス取得が「ユニークなポインタ」を生成するという本質的な挙動を伝えるために文言を修正しました。これにより、読者が複合リテラルのアドレス取得のセマンティクスをより正確に理解できるようになります。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の概念を理解しておく必要があります。

  1. 複合リテラル (Composite Literals): 複合リテラルは、構造体(struct)、配列(array)、スライス(slice)、マップ(map)などの複合型の値をその場で構築するための構文です。例えば、Point{X: 10, Y: 20} は構造体 Point の新しいインスタンスを生成します。複合リテラルは、コード内で直接値を初期化する際に非常に便利です。

  2. アドレス演算子 (&): Go言語におけるアドレス演算子 & は、変数のメモリ上のアドレス(ポインタ)を取得するために使用されます。例えば、p := &x とすると、変数 x のアドレスが p に代入され、px を指すポインタとなります。

  3. 複合リテラルとアドレス演算子の組み合わせ (&T{...}): Go言語では、複合リテラルの前にアドレス演算子 & を置くことができます。例えば、&Point{X: 10, Y: 20} のように記述します。この構文は、複合リテラルによって生成された値の新しいインスタンスをメモリ上に割り当て、そのインスタンスへのポインタを返します。このポインタは、その複合リテラルが評価されるたびに、常に新しい(ユニークな)メモリ位置を指します。これは、複合リテラルがその場で新しい値を生成し、その値がヒープ(またはスタック)に割り当てられるためです。

    この挙動は、特に構造体のインスタンスを生成してすぐにそのポインタを必要とする場合に頻繁に利用されます。例えば、関数がポインタを受け取る場合や、後で値を変更する可能性がある場合に便利です。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、Go言語の仕様書における記述の「正確性」と「簡潔性」の向上にあります。

元の記述: Since evaluation of a literal creates a new value, taking the address of a composite literal (§Address operators) generates a pointer to a unique instance of the literal's value.

修正後の記述: Taking the address of a composite literal (§Address operators) generates a unique pointer to an instance of the literal's value.

変更点は以下の通りです。

  1. Since evaluation of a literal creates a new value, の削除: この前段は、複合リテラルが新しい値を生成するという事実を述べていますが、アドレス取得の主要なポイントではありません。アドレス取得がユニークなポインタを生成する理由は、リテラルが新しい値を生成するからですが、その「理由」を冒頭に置くことで、文の焦点がぼやける可能性がありました。修正後は、直接的にアドレス取得の結果に焦点を当てています。

  2. generates a pointer to a unique instance of the literal's value. から generates a unique pointer to an instance of the literal's value. への変更: この変更は、文の構造を改善し、意味をより明確にしています。

    • 元の「ユニークなインスタンスへのポインタ」という表現は、インスタンス自体がユニークであることを強調しています。これは正しいですが、ポインタが指す先がユニークであると同時に、そのポインタ自体も評価ごとにユニークであるというニュアンスが少し弱かったかもしれません。
    • 修正後の「ユニークなポインタを生成する」という表現は、生成されるポインタ自体がユニークであること(つまり、毎回異なるメモリ位置を指すポインタが返されること)をより直接的に強調しています。これは、Go言語の &T{...} の挙動の重要な側面です。

この修正により、読者は「&T{...} を使うと、毎回新しいメモリ領域に割り当てられた値への、新しいポインタが手に入る」という点をより明確に理解できるようになります。これは、特に並行処理の文脈や、オブジェクトの同一性を考慮する際に重要なセマンティクスです。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1910,11 +1910,9 @@ pi := Num{Rat{22, 7}, 3.14159, "pi"}
 </pre>
 
 <p>
-Since evaluation of a literal creates a new value, taking the address of a
-composite literal (§Address operators) generates a pointer to a unique
-instance of the literal's value.
+Taking the address of a composite literal (§Address operators)
+generates a unique pointer to an instance of the literal's value.
 </p>
-\n <pre>
 var pi_ptr *Rat = &amp;Rat{22, 7}
 </pre>

コアとなるコードの解説

変更は doc/go_spec.html ファイル内のGo言語仕様に関する説明部分です。

  • 削除された行:

    Since evaluation of a literal creates a new value, taking the address of a
    composite literal (§Address operators) generates a pointer to a unique
    instance of the literal's value.
    

    この元の段落は、複合リテラルのアドレスを取得する際の挙動を説明していました。特に、「リテラルの評価が新しい値を生成するため」という前置きがあり、その結果として「リテラルの値のユニークなインスタンスへのポインタが生成される」と述べていました。

  • 追加された行:

    Taking the address of a composite literal (§Address operators)
    generates a unique pointer to an instance of the literal's value.
    

    新しい段落は、より簡潔かつ直接的に同じ概念を説明しています。「リテラルの評価が新しい値を生成する」という前置きを削除し、代わりに「複合リテラルのアドレスを取得すると、そのリテラルの値のインスタンスへのユニークなポインタが生成される」と述べています。

この変更の意図は、説明の焦点を「ポインタ自体がユニークである」という点に明確に置くことです。元の記述も間違いではありませんでしたが、新しい記述の方が、&T{...} が毎回新しいメモリ割り当てと新しいポインタを返すというGo言語の重要なセマンティクスをより効果的に伝えています。これにより、読者はこの構文が単に既存の値へのポインタを返すのではなく、常に新しい独立したインスタンスへのポインタを生成することを明確に理解できます。

関連リンク

  • Go言語仕様 (The Go Programming Language Specification): Go言語の公式仕様書は、言語のあらゆる側面に関する最も権威ある情報源です。複合リテラルやアドレス演算子に関する詳細な定義は、このドキュメントで確認できます。
    • https://go.dev/ref/spec
    • 特に「Composite literals」と「Address operators」のセクションが関連します。

参考にした情報源リンク

  • Go言語仕様 (The Go Programming Language Specification)
  • Go言語の複合リテラルとポインタに関する一般的な解説記事 (Web検索結果に基づく)
    • go composite literal address
    • go &T{}
    • go language spec composite literal
    • go address operator
  • GitHubのgolang/goリポジトリのコミット履歴