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[インデックス 1899] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリに含まれるいくつかの既存のテストが、ビルドシステムによって適切に実行されていなかった問題を修正するものです。具体的には、src/lib/Makefilesrc/run.bashの2つのファイルを変更し、flaglogcontainerunicodeパッケージに関連するテストがビルドおよびテスト実行プロセスに含まれるようにしました。これにより、これらのパッケージのテストカバレッジが向上し、将来的な回帰バグの検出に役立ちます。

コミット

commit a52d6fb73a0767428c1d970fc94a446848990272
Author: Ian Lance Taylor <iant@golang.org>
Date:   Thu Mar 26 22:20:27 2009 -0700

    Add a few tests which weren't being run.
    
    R=r
    DELTA=4  (4 added, 0 deleted, 0 changed)
    OCL=26797
    CL=26814
---
 src/lib/Makefile | 2 ++\n src/run.bash     | 2 ++\n 2 files changed, 4 insertions(+)

diff --git a/src/lib/Makefile b/src/lib/Makefile
index 0bdaf709ef..75fcff87ea 100644
--- a/src/lib/Makefile
+++ b/src/lib/Makefile
@@ -43,6 +43,8 @@ TEST=\
 	bignum\
 	bufio\
 	exec\
+\tflag\
+\tlog\
 \tonce\
 \tsort\
 \tstrings\
diff --git a/src/run.bash b/src/run.bash
index 73b2ef83f0..221a21f148 100755
--- a/src/run.bash
+++ b/src/run.bash
@@ -24,6 +24,7 @@ maketest() {\
 }\
 \
 maketest \\\
+\tlib/container\\\
 \tlib/fmt\\\
 \tlib/go\\\
 \tlib/hash\\\
@@ -37,6 +38,7 @@ maketest \\\
 \tlib/strconv\\\
 \tlib/tabwriter\\\
 \tlib/time\\\
+\tlib/unicode\\\
 \
 # all of these are subtly different\
 # from what maketest does.

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/a52d6fb73a0767428c1d970fc94a446848990272

元コミット内容

このコミットの目的は、「実行されていなかったいくつかのテストを追加する」ことです。これは、既存のテストコードが存在するにもかかわらず、何らかの理由でGoプロジェクトの自動テストスイートに含まれていなかったテストを、適切に実行されるように設定変更することを意味します。具体的には、flaglogcontainerunicodeといったGoの標準ライブラリパッケージのテストが対象となっています。

変更の背景

Go言語の初期開発段階では、ビルドシステムやテストインフラストラクチャが進化途上にありました。そのため、新しいパッケージが追加されたり、既存のパッケージにテストが書かれたりしても、それらのテストが自動的にビルドプロセスやテスト実行スクリプトに組み込まれないケースが発生することがありました。

このコミットは、そのような見落としを修正し、Goの標準ライブラリの品質と安定性を確保するための継続的な取り組みの一環として行われました。テストが実行されない状態では、そのパッケージの変更が既存の機能に影響を与えても検出されず、回帰バグにつながる可能性があります。この修正により、これらのパッケージのテストが定期的に実行されるようになり、開発プロセスにおける信頼性が向上します。

前提知識の解説

Go言語のテストフレームワークの基本

Go言語には、標準でtestingパッケージが提供されており、これを用いてユニットテストやベンチマークテストを記述します。テストファイルは通常、テスト対象のソースファイルと同じディレクトリに_test.goというサフィックスを付けて配置されます。go testコマンドを実行すると、これらのテストファイルが自動的に検出され、実行されます。

Makefileの役割とTEST変数の意味

Makefileは、ソフトウェアのビルドプロセスを自動化するためのツールであるmakeが使用する設定ファイルです。Goプロジェクトのような大規模なコードベースでは、コンパイル、テスト、インストールなど、様々なタスクを自動化するためにMakefileが利用されます。

このコミットで変更されているsrc/lib/Makefileは、Goの標準ライブラリのビルドとテストに関する設定を定義していると考えられます。TEST変数は、makeコマンドがテストを実行する際に、どのパッケージのテストを実行対象とするかをリストアップするために使用されることが多いです。このリストにパッケージ名を追加することで、そのパッケージのテストがビルドシステムによって認識され、実行されるようになります。

run.bashスクリプトの役割とmaketest関数の意味

run.bashは、Goプロジェクトのテスト実行をオーケストレーションするためのシェルスクリプトであると推測されます。Goプロジェクトでは、go testコマンドだけでなく、より複雑なテストシナリオや特定の環境設定が必要な場合に、このようなシェルスクリプトが用いられることがあります。

maketest関数は、このスクリプト内で定義されたヘルパー関数であり、引数として与えられたパッケージのテストをビルドおよび実行するための具体的な処理をカプセル化していると考えられます。maketest関数を呼び出し、テスト対象のパッケージパスを渡すことで、そのパッケージのテストがrun.bashスクリプトによるテスト実行フローに組み込まれます。

flagパッケージ

flagパッケージは、コマンドライン引数を解析するためのGoの標準ライブラリです。プログラムが起動時に受け取るオプション(例: -v-port=8080)を定義し、それらの値を簡単に取得できるようにします。

logパッケージ

logパッケージは、シンプルなロギング機能を提供するGoの標準ライブラリです。アプリケーションの実行中にメッセージを出力するために使用され、エラー、警告、情報などのログレベルを扱うことができます。

containerパッケージ

containerパッケージは、Goの標準ライブラリの一部であり、特定のデータ構造の実装を提供します。例えば、container/heapはヒープデータ構造を、container/listは双方向リンクリストを、container/ringはリングバッファをそれぞれ提供します。これらは汎用的なデータ構造であり、様々なアルゴリズムやアプリケーションで利用されます。

unicodeパッケージ

unicodeパッケージは、Unicode標準に関する機能を提供するGoの標準ライブラリです。Unicode文字のプロパティ(例: 数字かどうか、文字種別)、大文字・小文字変換、UTF-8エンコーディングの処理など、多言語対応のアプリケーションを開発する上で不可欠な機能を提供します。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、Goプロジェクトのビルドシステムとテスト実行フローに、特定のパッケージのテストを明示的に組み込むことにあります。

  1. src/lib/Makefileの変更: Makefile内のTEST変数にflaglogが追加されました。これは、makeコマンドがテストを実行する際に、これらのパッケージのテストもビルドおよび実行対象として含めるように指示します。通常、Makefileは依存関係を管理し、変更があったファイルのみを再ビルドしたり、特定のターゲット(例: test)を実行したりする役割を担います。TEST変数にパッケージ名を追加することで、これらのパッケージのテストがmake testのようなコマンドによって実行されるようになります。

  2. src/run.bashの変更: run.bashスクリプト内のmaketest関数の呼び出しリストにlib/containerlib/unicodeが追加されました。これは、run.bashスクリプトが実行される際に、containerunicodeパッケージのテストもmaketest関数を通じて実行されるように指示します。run.bashのようなスクリプトは、Makefileだけでは表現しきれない複雑なテスト環境のセットアップや、特定の順序でのテスト実行、あるいはテスト結果の集計などを行うために使用されます。maketest関数は、おそらく各パッケージのテストをビルドし、適切な環境で実行するための共通ロジックを提供していると考えられます。

これらの変更は、Goの標準ライブラリのテストカバレッジを網羅的にし、開発者がコード変更を行った際に、関連するテストが確実に実行されるようにするための重要なステップです。これにより、Go言語の安定性と信頼性が維持・向上されます。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/src/lib/Makefile b/src/lib/Makefile
index 0bdaf709ef..75fcff87ea 100644
--- a/src/lib/Makefile
+++ b/src/lib/Makefile
@@ -43,6 +43,8 @@ TEST=\
 	bignum\
 	bufio\
 	exec\
+\tflag\
+\tlog\
 \tonce\
 \tsort\
 \tstrings\
diff --git a/src/run.bash b/src/run.bash
index 73b2ef83f0..221a21f148 100755
--- a/src/run.bash
+++ b/src/run.bash
@@ -24,6 +24,7 @@ maketest() {\
 }\
 \
 maketest \\\
+\tlib/container\\\
 \tlib/fmt\\\
 \tlib/go\\\
 \tlib/hash\\\
@@ -37,6 +38,7 @@ maketest \\\
 \tlib/strconv\\\
 \tlib/tabwriter\\\
 \tlib/time\\\
+\tlib/unicode\\\
 \
 # all of these are subtly different\
 # from what maketest does.

コアとなるコードの解説

src/lib/Makefileの変更

TEST変数にflaglogの2行が追加されています。

 TEST=\
 	bignum\
 	bufio\
 	exec\
+\tflag\
+\tlog\
 	once\
 	sort\
 	strings\

これは、Goの標準ライブラリのテストを管理するMakefileにおいて、flagパッケージとlogパッケージのテストも実行対象に含めることを意味します。makeコマンドがテスト関連のターゲット(例: make test)を実行する際に、これらのパッケージのテストコードがコンパイルされ、実行されるようになります。

src/run.bashの変更

maketest関数の呼び出しリストにlib/containerlib/unicodeの2行が追加されています。

 maketest \\\
+\tlib/container\\\
 	lib/fmt\\\
 	lib/go\\\
 	lib/hash\\\
@@ -37,6 +38,7 @@ maketest \\\
 	lib/strconv\\\
 	lib/tabwriter\\\
 	lib/time\\\
+\tlib/unicode\\\

これは、Goのテスト実行スクリプトであるrun.bashにおいて、containerパッケージとunicodeパッケージのテストもmaketest関数を通じて実行することを意味します。maketest関数は、おそらく各パッケージのテストをビルドし、実行するための共通のロジックをカプセル化しており、このリストに追加することで、これらのパッケージのテストがスクリプトによる自動テストフローに組み込まれます。

これらの変更は、Goのビルドシステムとテスト実行スクリプトの設定を更新し、これまで実行されていなかった特定の標準ライブラリパッケージのテストを有効化するものです。これにより、Go言語の品質保証プロセスが強化されます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

この解説は、提供されたコミット情報とGo言語に関する一般的な知識に基づいて作成されており、特定の外部情報源を直接参照したものではありません。