KDOC 470: 『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』
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メモ
- わかりやすい実績は、どれも「思考の錯覚」を生み出す。たとえそれが実力でなく、上司/同僚/顧客のおかげで達成できた実績であったとしても、強力な思考の錯覚を生み出す(位置90)
- 「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」は、一種の資産として機能する。本書ではそれを「錯覚資産」と呼ぶ(位置90)
- 「実力がある」からよいポジションを手に入れられるのではなく、「実力があると周囲が錯覚する」からよいポジションを手に入れられている部分が大きい(位置135)
- 「初日の成績がよかった人が2日目の成績もいい」という傾向はほとんど見られない(位置200)
- ハロー効果は、なにか1点が優れていると、なにもかもが優れて見える錯覚のこと(位置319)
- 思考の錯覚は成功者の成功確率を一般人の何十倍、何百倍も高くする。「失敗は成功の母」というが、実際には成功のほうがはるかに成功の母だ。次の成功を生む(位置392)
- 成功者の場合、「信用」と呼ばれるもののうち、かなりの部分が錯覚資産である。人柄や実力がハロー効果で底上げされている(位置443)
- 「作者は起業した会社を上場させた」、と聞くと、本に説得力を感じるだろう。しかしその人の発言内容の正しさには何の関係もない。錯覚にすぎないのだ。しかし錯覚とわかっていても、正しいように聞こえる(位置489)
- 成功するためには錯覚資産が必要である。錯覚資産を手に入れるためには成功する必要がある。どうすればジレンマを解決できるか。確変が入るまでは小さく賭け、確変が入ったら全力で投資する。うまくいくかは運次第であるから、いろいろチャレンジしてサイコロを振ってみる。たまたまうまくいってハロー効果を手に入れたら、そのハロー効果を使ってよりよい環境を手に入れる(位置531)
- ハロー効果には射程がある。具体的な数値を伴う成功は射程が長い。初めて会った人に対してまで威力を発揮する。数値は印象に残りやすく、思い浮かびやすくなる。そのため資産価値の高い錯覚になる。だから具体的な数値が作れそうな案件は積極的に受けたほうが得である。勝ち馬に乗れる案件はそれが実力によるものでなくてもハロー効果は生じる(位置539)
- 半期で1.5億円売り上げた
- クラウドファンディングで5000万円を獲得した
- ユーザ数が43%増えた
- 公演をしたり本を書いたりするのもハロー効果を作り出すのに効果的である。労力に比べると金銭的報酬は多くないが、錯覚資産の獲得手段としては本の執筆は投資対効果が高い。小さなハロー効果をテコにしてより大きなハロー効果を獲得していく(位置549)
- 他人の本当の実力などわからない。大部分、思考の錯覚で人を判断する。しかし錯覚で判断している自覚はない(位置566)
- 才能があるかなんて自分にも他人にもわからない。結果的にヒットしたら「才能があったからヒットしたのだ」と知覚されるだけだ。未来のヒットが、過去にさかのぼって、才能のあるなしを書きかえる(位置583)
- 成功者は「自分のやり方が正しかったから成功したのだ」というフリをしたほうが得である。やり方によってならば、人や金が集まってくるから(位置592)
- 「当たると、当たる確率が上がる運ゲー」であることが重要である。当たりが出て、確変が入ったときに大きく賭けると勝率が高くなる。運ゲーではあるが、運任せでは勝てない運ゲーである(位置612)
- 優秀だから成功するのではない。成功したから「優秀だった」と記憶が書き換えられる(位置692)
- 人間はコントロールしたいという強い欲求を持っている。それがコントロールできないものをコントロールできるという幻想であっても。ほとんどの人は21世紀においても日々雨乞いと同じことをやり続けている(位置765)
- 100年後の人々は生活や仕事のやり方を、雨乞いをする中世の人々を見るような目で見るだろう(位置765)
- 人間には実力という要因をプラス方向/マイナス方向に「大幅に過大評価」してしまう認知バイアスがある。じっさいの成功・失敗は はるかに実力以外の要因で決まっている。実力という要素の影響力を自分が考える半分程度に見積もったほうがいい(位置909)
- ハロー効果はマイナスにも作用する。パフォーマンスを発揮できてない場合はマイナスのハロー効果によって直感が汚染されている可能性が高いので汚染を取り除く選択肢を検討したほうがよい(位置940)
- 「いろいろ嫌なことはあるけど、今の会社にいるのが一番マシだ」と考えるのは、「デフォルト値効果」という認知バイアスの影響を大きく受けている可能性がある(位置984)
- 判断が難しいときに直感が出す答えは、思考の錯覚に汚染されている可能性が高い(位置1001)
- 錯覚資産の大きさは「錯覚資産の大きさ」x「成果のアピール」で決まる(位置1039)
- 錯覚資産のアプローチ(位置1069)
- 錯覚資産を増やすことばかりして実力を磨くことを怠ると1つのループが回らなくなる
- スキルアップばかりやって錯覚資産を増やすことを怠るとすべてのループが回らなくなる
- ITエンジニアであれば、エンジニアの勉強会に顔を出してみる。そこでできるだけ多くの人に知ってもらえば、自分を思い浮かべてもらいやすくなる(位置1179)
- 自分の「優秀さ」をアピールするより、自分がどういうポジションなら力を発揮できるかの具体的なイメージを相手にインプットするほうがよい。実際に現場で戦力として活躍しているということを相手に印象づけるようにする。思い浮かびやすくしておくと、意外なところから、意外なチャンスが降ってくる(位置1179)
- 思考の錯覚の網を広げる。連絡を取っていない友人知人と飯を食べたり勉強会に行く。網を広げ、網をメンテすることに大きな時間を投資しなければならない。幸運を引き当てる確率は、網が大きければ大きいほど高くなる。運ゲーだが、やり方次第で当たる確率を飛躍的に高められる運ゲーである(位置1199)
- 1人でコツコツやるより環境に恵まれたほうがはるかに効率よくスキルアップできるし、ハロー効果を生むような「見栄えのいい」実績、錯覚資産を作り込みやすい。環境がスキルと錯覚資産を育む。「スキルアップしやすい環境を手に入れること」というメタレベルに投資するほうが「スキルアップそのもの」に時間投資するより投資効率がよい(位置1231)
- 「時間」という資源をPV向上とCVR向上のどちらにどれだけ投資するかという投資戦略の問題だ。CVRが10分の1でも、PVが10倍なら、コンバージョン数は同じ(位置1231)
- 成功の主要な要因が運であるということは、「サイコロを振る回数を増やさないことには、成功確率はなかなか上がらない」ということを意味する。PVの絶対数を増やさなければいい環境にはありつけない(位置1255)
- 高学歴の人の成功確率が高いのは、単に彼らが優秀だからというだけではない。彼らの「高学歴」がハロー効果を引き起こすから成功確率が高い(位置1268)
- ほとんどの人は実際には学歴で人を判断しながら、錯覚と欺瞞によって「自分は学歴で人を判断しない」と考えている(位置1281)
- 脳は、「報酬が少ない」ことを整合させるために「面白い作業だった」と自分を思い込ませることがある。ウソをつくわけではなく本当にそう感じる(位置1343)
- 現実世界の敗者が、自分の脳内世界で価値評価を捏造し、脳内世界で密かに復讐を遂げる。自覚がない。この状態になると現実を動かす力を失っていく。マイナスの状態から抜け出せなくなる(位置1368)
- ブサイクな人が「見た目じゃなくて中身が大切だ」という
- 貧乏な人が「卑怯なことをやった人間が金持ちになる」という
- プラスの価値はすべて利用資源であって、それを脳内で否定すると損をする
- 強い
- 美しい
- 豊か
- 健康
- 賢い
- 現実世界で価値があるが自分の状態がマイナスなのを改善できない場合は、「他人の属性を利用しようと待ち構えている状態:として認識するとよい(位置1404)
- 成功者たちが見つけ出したのが、錯覚資産に「信用」とか「ブランド」というラベルを貼って、その醜悪さを隠蔽するという錬金術だったのだ(位置1489)
- なにかを主張するときには「一貫して偏ったストーリー」を語る。しかし自分の人生を選択するときは、徹底的に「正しい判断」することにこだわる(位置1506)
- 両方の側から「一貫して偏ったストーリー」を考えると、簡単には騙されなくなる。作者のブログで行っていたこと。分裂勘違い君劇場 by ふろむだ(位置1538)
- 人は無自覚に感情で多くを判断している。その作者の好感度が高ければ、たいしたことない作品でも、ファンにとっては感情ヒューリスティックによって「とても面白い作品」だと知覚される。感情ヒューリスティックは、「人に好かれる」ということを、比喩ではなく現金に換金可能な資産にしてくれる(位置1645)
- 年収、昇進、割振…答えるのが難しい重大な質問には、上司は、結局、直感を頼りに答えを出す。だから、サラリーマンをやっている限り、上司に好感を持たれるように、十分な注意を払わなければならない(位置1665)
- 「一貫性、原因、結論」の3つを過剰に求める傾向に注意すれば、自分の思考の錯覚に気づいて修正しやすくなる。他人の思考の錯覚を利用して、自分に有利に物事を進められる(位置1748)
- 錯覚資産は複利で増大する。実力増大と錯覚資産の増大が相乗効果を引き起こしながら増える。錯覚資産を意識的に増やす人間とそうでない人間では、錯覚資産の増加率が異なるため、短期的には小さな差でも、長期的にはとんでもなく大きな差になる(位置1891)
感想。
- 自分は基本的に、社会でデフォルトになっているように見える「実力」や「才能」モデルで社会を捉えていた。まさにハロー効果で何人かの偉人を尊敬しロールモデルにしてきた。いっぽうでうまくいっている同年代の人たちや、他人との競争には目をつぶり、逃避してきた
- 現実の社会をより正確に捉えた切り口を理解させるだけでなく、それをわかったうえでどう利用してやるか、というところは奮い立たせられる。現状を正しく認識して初めて、正しい方向性の努力を考えられる
- タイトルの時点で最強にパンチが効いていて、興味を持ちやすい
関連
なし。