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[インデックス 19416] ファイルの概要

このコミットは、Goランタイムのsrc/pkg/runtime/extern.goファイル内の変更です。このファイルは、Goプログラムがランタイムと対話するための外部関数や変数宣言を含んでいます。具体的には、runtime.Version()関数のドキュメントコメントが修正されています。

コミット

このコミットは、runtime.Version()関数のドキュメントを改訂し、その戻り値の形式に関する説明をより正確なものに更新することを目的としています。これは、以前に試みられた#7701という問題の修正を、異なるアプローチで再度行ったものです。

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/8aa8348b5161470b5b46477f547a40a2a393686e

元コミット内容

commit 8aa8348b5161470b5b46477f547a40a2a393686e
Author: Shenghou Ma <minux.ma@gmail.com>
Date:   Tue May 20 14:41:24 2014 -0400

    runtime: revise the document of Version()
    Fixes #7701. (again, differently)

    LGTM=rsc
    R=iant, rsc
    CC=golang-codereviews
    https://golang.org/cl/94560043

変更の背景

この変更の背景には、runtime.Version()関数が返すGoのバージョン文字列の実際の形式と、そのドキュメントが示す内容との間に乖離があった可能性があります。元のドキュメントでは「シーケンス番号」や「release.2010-03-04」のような形式が示されていましたが、実際のGoのビルドプロセスやバージョン管理の進化に伴い、より一般的な形式として「コミットハッシュと日付」や「go1.3」のようなリリースタグが使われるようになりました。

コミットメッセージにある「Fixes #7701. (again, differently)」という記述は、#7701という課題が以前にも解決を試みられたが、完全には解決されなかったか、あるいはより良い解決策が見つかったことを示唆しています。この課題は、おそらくruntime.Version()が返す文字列の正確な意味や形式に関する混乱を解消することに関連していたと考えられます。ドキュメントを更新することで、開発者がruntime.Version()の出力について正確な期待を持てるようにし、誤解を防ぐことが目的です。

前提知識の解説

runtime.Version()関数

runtime.Version()はGo言語の標準ライブラリruntimeパッケージに含まれる関数です。この関数は、現在実行中のGoバイナリがビルドされたGoツリーのバージョン文字列を返します。このバージョン文字列は、Goのリリースバージョン(例: go1.2go1.3)や、開発中のバージョンであれば特定のコミットハッシュと日付を含むことがあります。開発者が自身のGoアプリケーションがどのGoバージョンでコンパイルされたかを知るために利用されます。

Goのバージョン管理とビルドプロセス

GoプロジェクトはGitでバージョン管理されており、公式リリースはgo1.xのようなタグで管理されます。開発中のバージョンは、特定のコミットハッシュによって識別されます。runtime.Version()が返す文字列は、ビルド時にGoツールチェーンが自身のバージョン情報を埋め込むことで生成されます。

src/pkg/runtime/extern.go

このファイルは、Goランタイムの内部実装の一部であり、Goプログラムからアクセス可能な外部関数や変数(C言語で実装されたランタイム関数など)のGo側の宣言を含んでいます。runtime.Version()のような関数は、Goのソースコードから呼び出されるものの、その実体はランタイムのC(またはGoアセンブリ)コードで実装されている場合があります。このファイル内のコメントは、Goの公開APIの一部として機能し、開発者向けのドキュメントとして非常に重要です。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は、runtime.Version()関数のGoDocコメントの修正に限定されています。

変更前:

// Version returns the Go tree's version string.
// It is either a sequence number or, when possible,
// a release tag like "release.2010-03-04".
// A trailing + indicates that the tree had local modifications
// at the time of the build.

変更後:

// Version returns the Go tree's version string.
// It is either the commit hash and date at the time of the build or,
// when possible, a release tag like "go1.3".
func Version() string {
 	return theVersion
}

主な変更点は以下の通りです。

  1. 「シーケンス番号」の削除: 以前のドキュメントにあった「シーケンス番号」という表現が削除されました。これは、Goのバージョン識別方法がシーケンス番号からより具体的なコミットハッシュやリリースタグへと移行したことを反映している可能性があります。
  2. バージョン文字列の具体例の更新:
    • 古い例: "release.2010-03-04"
    • 新しい例: "go1.3" この変更は、Goの公式リリースバージョンがgo1.xのような形式でタグ付けされるようになったことを明確に示しています。
  3. 開発版のバージョン形式の明確化: 新しいドキュメントでは、開発版のバージョン文字列が「ビルド時のコミットハッシュと日付」であることを明記しています。これにより、開発中のGoツリーからビルドされたバイナリのバージョン文字列がどのような形式になるのかがより明確になりました。
  4. ローカル変更の表示に関する記述の削除: 以前のドキュメントにあった「A trailing + indicates that the tree had local modifications at the time of the build.」という記述が削除されました。これは、この情報がもはやruntime.Version()の戻り値に含まれないか、あるいは別の方法で示されるようになったためと考えられます。

これらの変更は、runtime.Version()が返す文字列の実際の形式をより正確に反映させるためのものであり、Goのバージョン管理とビルドプロセスの進化に合わせたドキュメントの同期を目的としています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/runtime/extern.go
+++ b/src/pkg/runtime/extern.go
@@ -190,10 +190,8 @@ func GOROOT() string {
 }
 
 // Version returns the Go tree's version string.
-// It is either a sequence number or, when possible,
-// a release tag like "release.2010-03-04".
-// A trailing + indicates that the tree had local modifications
-// at the time of the build.
+// It is either the commit hash and date at the time of the build or,
+// when possible, a release tag like "go1.3".
 func Version() string {
  	return theVersion
 }

コアとなるコードの解説

上記の差分は、src/pkg/runtime/extern.goファイル内のVersion()関数のGoDocコメントのみを変更していることを示しています。実際の関数のロジック(return theVersion)には一切変更がありません。

  • -で始まる行は削除された行です。
  • +で始まる行は追加された行です。

削除された行は、古いバージョンの説明であり、runtime.Version()が「シーケンス番号」や「release.2010-03-04」のようなリリースタグを返す可能性について言及していました。また、ローカル変更を示す末尾の+についても記述がありました。

追加された行は、新しいバージョンの説明であり、runtime.Version()が「ビルド時のコミットハッシュと日付」または「go1.3」のようなリリースタグを返すことを明確にしています。

この変更は、コードの動作自体には影響を与えず、単にその動作に関するドキュメントを最新かつ正確なものに更新するものです。これは、Goプロジェクトにおけるドキュメントの正確性を維持するための継続的な取り組みの一環です。

関連リンク

  • Go Change List (CL): https://golang.org/cl/94560043 (このCLは、Goのコードレビューシステムにおけるこのコミットのレビューページを示しています。ただし、古いCLは直接アクセスできない場合があります。)

参考にした情報源リンク

  • runtime.Version()に関するGoのドキュメントや関連情報 (Web検索結果より):